引っ越し先は未定…新居より優先させた自主トレ A組入りの長谷川威展の知られざる素顔

ソフトバンク・長谷川威展【写真:飯田航平】
ソフトバンク・長谷川威展【写真:飯田航平】

貴重な左の中継ぎとして期待…キャンプはA組スタート

 昨年12月に行われた現役ドラフトで、日本ハムからホークスに移籍してきた長谷川威展投手は2月1日から始まる春季キャンプのA組スタートが決まった。いよいよ始まる新天地でのキャンプを前に、左腕の素顔を探るべく鷹フルが独占取材を敢行。移籍が決まってから、どんな心境で過ごしてきたのだろうか。

 長谷川はスリークォーターから最速147キロの真っ直ぐを投げ込む変則タイプの左腕だ。昨季、1軍では9試合に登板して防御率1.08の成績を残し、イースタン・リーグでは8勝をあげて最多勝に輝いた。貴重な左の中継ぎとしての期待を受け、ホークスに移籍してきた。

「ある程度やることが決まっていたところで(移籍に)なったんで。引っ越しとか、退去とか、挨拶回りとかそういうのは大変でした」。日本ハムで過ごした2年間は千葉・鎌ケ谷で寮生活。移籍が決まるとすぐに寮を出て、埼玉の実家に戻った。年が明けると、日本ハムの宮西尚生投手らの自主トレに参加。福岡で住む家を決める間もなく、自主トレに時間を費やしてきた。

 福岡に移動してきたのは26日。「まだ家は決めていません。引っ越しを急いでなかった僕がいるんで。寝られればいいんで結局は」。まだ新居は決まっておらず、キャンプインまではホテル暮らし。そんな状況でも、練習を何よりも優先させるところに長谷川の性格が滲んでいる。

 筑後に来るのは、この日で2回目。まだ、チームには馴染めておらず「ほんとに知り合いが全くいなかったので……。特に話すことも『おぉ!』とかいう選手も全然いないんで、全く話はしてないです」と、少し寂しそう。一方で「気づいたら仲良くなる人は出てくるだろうし。野球のコミュニケーションとか、そういうプレー自体のコミュニケーションをしっかりとっていきながら、そんなに焦らずにやっていけたら順応できるのかなと思ってます」と、マイペースな一面も見せる。

 キャンプのA組スタートが決まり「やっぱり最初が1番大事なのかなと思っていますね。最初の印象というか、そこで1年間決まるぐらいの気持ちでやらないと、と思っています」。長く“左キラー”として君臨した嘉弥真新也投手がヤクルトへ、田浦文丸投手も出遅れることになり、左の中継ぎとして寄せられる期待は大きい。

 自主トレをともにした宮西はパ・リーグ記録の14年連続50試合登板や、通算393ホールドの日本記録を持つ中継ぎのスペシャリストだ。「メインがトレーニングなんで、そこで技術的な話も交えたりとかして」。2年連続で宮西に弟子入りし、得た知識と技術はホークスで活躍するための糧となる。

 間もなく始まるホークス1年目のシーズン。家を決めることよりも練習を優先させるほど、新天地にかける思いは強い。その熱意は結果となって実を結ぶと信じたい。チームのピンチを救う背番号「59」を見る日はそう遠くはない。

(飯田航平 / Kohei Iida)