北広島市といえば、昨年3月に日本ハムの新本拠地として「エスコンフィールド北海道」が開業した地。町の新たなランドマークとなる場所で、成人式が初めて執り行われた。日本ハムの選手からの祝福メッセージが放映されたり、ファイターズガールによる「きつねダンス」のパフォーマンスが披露されたりと、盛り上がりを見せたという。
本来は敵として乗り込むべきエスコンフィールドに足を踏み入れた木村大は「エスコンの雰囲気を感じたし、地元の友達からたくさん応援の言葉をもらったりしたので、エスコンで投げたいというか、投げないといけないなっていう思いにめちゃくちゃなりました」と胸を昂らせた。
地元に出来た新球場は木村大にとって特別な存在だ。実家はエスコンフィールドから徒歩10分ほどの距離にあり「めっちゃ近いっす。もう家から見えるんです」と、まさに“お膝元”だという。
「もちろん、PayPayドームも全然負けてないっていうか、迫力は同じぐらい凄いんですけど、地元の実家近くに出来たっていうことでの思い入れはありますね。やっぱりそこで投げるっていうのは自分の中で特別なものがあるんで、そこも1つの目標にして今年はやりたいです」
「まずは1軍に上がることが1番なんですけど」という大前提こそあれど、決意はより強固なものになった。地元での凱旋登板が実現すれば、親孝行にもなる。応援してくれている地元の友人、知人に活躍を見せるには最高の舞台だろう。
野心を胸にたぎらせている。「3年目なので、もう1軍で試合に出て、存在を全国に知らしめたい」。昨季は3軍を中心に非公式戦22試合に登板。69イニングを投げて5勝0敗、防御率1.04とアピールした。シーズン途中からは先発として新たな境地にも足を踏み入れた。2軍戦での登板機会こそ得られなかったが、手応えを感じ、来季以降へ期待の膨らむ2年目となった。
「3年目は勝負なので、チャンスをものにしたいとかじゃなくて、しなきゃいけないっていう気持ちです。自分で言うのもあれですけど、練習はしっかり自分で考えてできる方だと思っています。芯を持ってやっています。僕はもともと1人でやるタイプでした。1人で出来る時間が楽しかったというか、自分で考えて、いろいろなことをしてきて、そこからすごく成長した実感があるので」
練習に対する取り組みには信念を持っている。周りに流されることなく、自分自身と向き合ってきた。それはプロ入り前から大切にしていたことだった。
顕著になったのはコロナ禍だった。新型コロナウイルスの流行で、高校1年の冬頃から学校が休校になり、部活が出来ない時期もあった。2年夏の甲子園大会は中止。モチベーションを保つのが難しい時期だったが、プロ入りを目標にしていた木村大は「マイナスに捉えている暇はないな、と。逆に『自分の好きなことがいっぱいできるじゃん』という感じでやっていました」と、1人で黙々と練習に取り組んでいたという。
1、2年目はケガに苦しんだ期間もあり、精神的に難しいこともあった。それでも、前を向いてやるべきことに集中した。やってきたことに自信はあるが、「それは結果でしか証明できない。いくら練習したからって、試合出て活躍しないと意味は無いので」とも受け止めている。成人の日に感じた熱い想いを胸に、2024年は今までやってきたことを発揮する勝負の年にする。