3年連続V逸「失ったものはすごい大きい」 王会長が語る要因…チームに求める姿勢【コメント全文】

ソフトバンク・王貞治球団会長と後藤芳光球団社長【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・王貞治球団会長と後藤芳光球団社長【写真:藤浦一都】

PayPayドームで鏡開き…王会長も沈痛な表情「例年以上に引き締まった気持ち」

 ソフトバンクは5日、PayPayドームで仕事始めを迎えた。鏡開きを終えた後、王貞治球団会長と後藤芳光球団社長が取材に応じた。王会長が語ったのは3年間、リーグ優勝から遠ざかっている最大の要因。さらに直近2年、チームとしても逃してしまっている“あと1勝”というところについても「誰かのせいではない」と自論を展開した。後藤球団社長とともに、2人のコメント全文を掲載する。

・王貞治球団社長
――新年を迎えた今の心境は。
「過去を振り返ることはあまり好きじゃないですけど、この3年間で失ったものはすごく大きいと思っています。ただそれを取り返すのは今年からの戦いですからね。昨年以上に厳しい戦いであることを認識した上で、それぞれが自分がやるべきことをしっかりやる。基本に戻るということですね。負けて振り返ってみると、ちょっと気が緩やかだったとか、徹底していなかったとか、そういったものが出てきます。でも小久保新監督のもと、気分を一新して新しい目標を立てて、それを実現するべくみんなで頑張っていきます」

――小久保新監督にはどのような戦いを期待しますか。
「小久保監督なりの考えがあると思うので、監督がやりやすい野球をできるように我々はバックアップする。勝つには投手力ですよ、まずはね。そこからどう戦っていくかということ。投手力を、昨年は残念ながら投手力が機能しなかった。今年は機能できるようにキャンプから監督も張り切ってやってくれていますから。いい成果が出せるんじゃないかと思います」

――山川穂高内野手を獲得するなど、補強を進めた。
「色々と批判をいただきましたけど、我々としては野球界で生きていく力を持っている人が、その世界で生きられないような世界を作ってはいけないと思う。かなり社会的な制裁も受けて、本人も反省している。挽回するチャンスを与えていくべきだと思います。あとはチームとしてはみなさんも承知の通り、左バッターばかりですから。そこに右のホームラン王を3回も取っている山川くんが入ってくれる。チャンスがあるなら、それを手にするのは当然のことだと思う。彼に色々とハッパをかけながら、頑張ってもらおうと思います」

――若手の突き上げも必要だと思いますが、どのように目立ってほしいか。
「1年目の人はともかく、2年、3年やった人はその時のことが本当に自分にとってふさわしかったのかどうかをチェックしてみないと。この1年、2年を振り返って、成果の上がらない人というのはトレーニングの方法なのか、試合に臨む心構えなのか、しっかりとした決断ができていたのかどうか。そういうところをチェックしてこのオフの間に。このキャンプにも取り組んでくれると思う。違った面が見られたらいいなと思っています」

――2022年、2023年は「あと1勝」に苦しんだ。選手たちにはどのような姿を期待するか。
「選手にとってはその試合その試合なんですけど、あの最後の試合で負けたのではなくて、そこに来るまでの間にもっと勝っておかないといけなかった試合はたくさんあるわけですよね。そこはクローズアップされますけど、そういうことではない。誰かのせいではない。全体の力がそこに結集できなかったということですから。新しい監督のもと、結集して、本当に勝負というのはちょっとしたことなんです。ちょっとしたことを手にできるかどうかは、選手たちみんなの気持ちですから。そういう方向には向かわせたいですね」

――応援してくれるファンの方々へのメッセージや、今季の意気込みをお願いします。
「ファンのみなさまにはね、本当に3年間、ただこちらとしても申し訳なかった。ファンのみなさんはありがたいことにね、今年の戦い、ホークスの戦いにすごく期待してくれていると思うので。その期待に応えられるように頑張りたいと思います。選手も同じ気持ちだと思うので、ファンのみなさまに喜んでもらえるような1年にしたいと思います」

PayPayドームで仕事始めを迎えた【写真:藤浦一都】
PayPayドームで仕事始めを迎えた【写真:藤浦一都】

・後藤芳光球団社長
(社長自ら)
「1月の元旦、2日に発生しました能登半島地震と、羽田空港における空港機事故、この度、お亡くなりになった方々にご冥福をお祈りするとともに、被災された方々のお見舞いを申し上げたいと思います」

(頭を下げる)

「さてみなさんには、昨年1年間、大変に大きなご声援とご指導をいただきました。明けて2024年、小久保新監督を迎え、新しいメンバーを迎えて、新生ホークスとして1年間、最高の結果を目指して、ひたむきに取り組んで参ります。今年も1年間、みなさんのご指導、よろしくお願い申し上げます」

――新年を迎えた今の心境は。
「毎年思うことですが、シーズン終了して、3年間悔しい思いをした。去年も悔しい思いをしたわけで『これからやらないとな』と、そこからいろんなことをやっている間にあっという間に正月と、そんな感じです。逆に野球に関して言えば、まもなくキャンプインという中で、清々しい正月だと。野球に関してはそう思います」

――小久保新監督が就任して、どのような働きを期待する。
「王会長と、選手としての小久保選手がホークスの礎、いち時代を築いていただきました。今度は小久保さんが監督という立場で、自らのご経験をもとに、もっと強いホークスを再興していただけると信じております」

――2023年は3位に終わった。首脳陣や選手に求めることは。
「補強を一生懸命やって、臨んだシーズンでしたけど結果として3位に終わったこと、我々も、監督コーチ、以下選手も本当に1人1人が向き合って考えないといけない。考えなければ、また今年同じ結果になるかもしれない。我々は今できることをやっていますけど、キャンプからシーズンインに向けて、選手たち、監督コーチにも、何が問題だったのかということを考えながら、結果をすぐに出すんじゃなくて、考えながら、シーズンに向かいながら、日々強くなってほしいと思います」

――さまざまな背景があった中で山川選手も獲得した。新戦力に期待したいことは。
「補強をした選手1人1人、球団統括では敗因分析をしながら、必要な部門、必要な能力のある選手をお迎えしたと思っています。ここまで球団統括部門、素晴らしい補強をしてくれたと思っています。あとは並行して“育成のホークス”、4軍制を敷いてその結果が出てくるのが今年から。ぜひ若い選手の、より早い時期からの1軍での活躍を、私は個人的には一番期待しています」

――若い選手からはどんな姿が見たい。
「チャンスを与えるのは監督だと思いますが、チャンスをもらった選手は結果を恐れずに、若者らしく思い切ってやってほしいです。結果を恐れる年ではないですから、とにかくどんどんチャンスを掴んで。チャンスはそういうものだと思っています。大いに期待しています」

――球団として今年、目指していくものは。
「日本一。なんとかして、もがいてもがいて、全員で手にしたい。選手だけではなくて、我々フロント、営業管理、全員で勝ち取りたいと思います」

(竹村岳 / Gaku Takemura)