和田毅が超えた“2億円の壁” 42歳にして純粋な戦力…球団が語った査定の一部

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・和田毅【写真:藤浦一都】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・和田毅【写真:藤浦一都】

チーム2位の8勝、7年ぶりの100イニング到達…3500万アップに納得の表情

 衰え知らずの成績が評価された。ソフトバンクの和田毅投手が25日、PayPayドームで契約更改交渉に臨んだ。3500万円アップの年俸2億円(金額は推定)でサインした。来年2月には43歳を迎えるが、1億円台から2億円台にジャンプアップしてみせた。存在感を示した2023年、球団が語った評価の中身にまで迫る。

 今季は21試合に登板して8勝6敗、防御率3.24。7年ぶりの100イニング到達、オールスターの出場など、数々の記録とともに歩んだシーズンだった。「それは個人的なことなので。最終的な目標は優勝、日本一を勝ち取ってこそのシーズン。記録やオールスターはご褒美みたいなもの」と謙遜しながら振り返る。和田にしか歩めない、1球1球が伝説に近づいていくような1年だっただろう。

 3年やって一人前と言われる世界。2024年がプロ22年目を迎える和田は、超一流と呼べる領域。金額の上がり幅も含めて「すごく評価していただきました。年齢のこともその中でチームの力になってもらって、ありがとうと言っていただけたので。納得して押しました」と深くうなずく。この年齢にして右肩上がりの評価を勝ち取る和田。球団側はどのように考えて、金額を提示したのか。

 三笠杉彦GMは、和田への評価をこう語る。「金額については僕から言うことはありませんけど、基本的には先発の一角として活躍をしてくれた。あの年齢にして戦力になっているところが高い評価の理由」。プロの世界ではキャリアが進むほどに、契約更改での金額増減の幅が大きくなるシーンもよく目にするが、和田に関しては年齢という側面は査定には「入っていません」とした。それだけ純粋な戦力としての評価した証、42歳となった今も第一線に立ち続けている証だ。

 プロ野球選手の推定年俸は、文字通り「推定」だ。正確な金額を自らの口から明かす選手もいれば「ご想像にお任せします」と、明言はしない選手もいる。とはいえあまりに外れていても、選手のためにならない気もする。この日の和田も「言いたくないんですよね……」と苦笑いしていた。金額面について、報道陣との“問答”があった後に「正直に言います。2(億)は超えました。これで勘弁してください」と教えてくれた。報道陣からも「お〜」と、2億台に乗ったことには驚きの声が上がっていた。

 43歳となる2024年、アップ提示を受け取った。和田は「ありがたいことですし、本当にそれしかない。その分、責任も感じますし、しっかりやらないといけないという気持ちです」と背筋を伸ばす。チームのために戦うことを信条とはしているものの、金額での評価もプロ野球選手にとって大切な要素。会見でも終始、笑顔が目立つなど納得の交渉となったようだ。39歳だった2020年の推定年俸は1億円だったが、数年で倍にまで増やしてみせるのだから、どこまでも衰え知らずだ

 契約は単年。40歳を超えた2021年、2022年と2年契約を結んだ経験もあるが、今回は複数年契約の提示はなかったそうだ。「ダメだったら終わるというのは毎年言っていますし、その気持ちに変わりはない」と、2024年も現役引退をかけて挑むシーズンとなる。「やれる契約をしてもらえる以上は全力でやりますし、できなければ辞める時。年齢が上がってもそう(必要と)言っていただけることがありがたいこと。契約してもらった球団に応えられられるように努力していきたい」と、どこまでも誠実な思いだ。

 2024年、目標に掲げるのは2桁勝利。過去6人しか達成者はおらず山本昌さん、工藤公康さんらレジェンドの名前ばかりが並ぶ大記録に来季も本気で挑戦する。8勝を挙げた2023年を「今年が一番チャンスだった」とも表現。あと2勝で踏み入ることができた領域。だからこそ、現実味を抱き、叶えられる目標というスタンスで「2桁勝利」と睨むことができる。道筋は、和田にはハッキリと見えていた。

「今年の成績は越えたいと思っています。勝ち数もイニング数もそうですし、今年は先発としては『20』だったので1試合でも多く投げたいです。それは年齢的なこともあってわからないですけど、イキのいい若い選手が入ってくれば自分が投げられる場所がなくなる可能性もゼロじゃない。そこはもう自分次第と思っているので。今年同様、自分の場所は自分で掴んで、今年以上に使ってもらえるように」

 自身、2016年の15勝以来の2桁勝利に向かって走り出す。すでに小久保裕紀新監督から開幕ローテーション入りを通達されているが「それはスタートだけで1年間投げられる保証はない。あとは自分が信頼を得るピッチングができるか」と油断はない。頂点に立つために欠かせない選手として評価されるとともに、和田の存在感の全てを象徴するような契約更改だった。

(竹村岳 / Gaku Takemura)