“悪夢の10.16”で「野球の怖さを知った」 ドラ1前田悠伍も衝撃を受けた夜

ソフトバンク・前田悠伍【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・前田悠伍【写真:藤浦一都】

18歳のリラックスタイムはお風呂「サウナも含めて2時間くらい」

 ソフトバンクにまた新たに15人の戦力が加わる。10月のドラフト会議で指名した支配下7人、育成8人のルーキーたちが12月4日の新入団選手発表会見でお披露目された。投手が10人、野手が5人。多士済々の顔ぶれを1人ずつ紹介していく。

 ドラフト1位で指名されたのは、高校球界ナンバーワン投手の呼び声高い大阪桐蔭高の前田悠伍投手。担当の稲嶺誉アマスカウトが「キレのあるストレート、スライダーに加えチェンジアップの抜けは魅力で、対打者への駆け引きもできる。記憶に新しいU-18の世界一と、将来プロの世界でも日の丸を背負いチームの世界一に貢献できる投手」と絶賛する最速148キロの左腕だ。

 高卒1年目から1軍舞台でのプレーも期待できる前田にとって、印象に残っているホークスの試合がある。10月16日にZOZOマリンスタジアムで行われたロッテとのクライマックスシリーズ・ファーストステージ第3戦。延長10回に3点を勝ち越しながら、その裏に4点を失い、壮絶なサヨナラ負けを喫した“あの試合”だ。

 まだホークスに指名される前だった前田は練習を終えて帰ってきた寮でこの試合をテレビで目の当たりにしたという。「何が起こるかわからないというのを改めて感じましたし、常勝軍団と言われているチームでも一瞬の隙でああいった形でサヨナラにされてしまう。改めて野球の怖さを知りました」。グラウンドに崩れる落ちる、来季からの先輩たちの姿に衝撃を受けた。

 自身も高校2年生の夏、甲子園準々決勝での下関国際戦でリリーフ登板して、逆転負けを喫している。「1球で勝敗が決まると言っても過言じゃない。プロ野球は甘く入ってしまったら、あっさりホームランを打たれてしまう世界だと思う。より一層の厳しさっていうのを持ちながらやっていきます」。1球の重みをプロ入り前から痛感している。

 その姿勢や口ぶりからも“しっかり者”の印象を受ける前田のお気に入りは、お風呂の時間。「普段は20~30分ですけど、温泉とかに行けば、サウナも含めて2時間くらい入るんじゃないですか。サウナ好きです。3年生で(野球部を)引退してからは寮のお風呂も自由な時間に入れるので長く入ったりしています」。18歳にとって貴重なリラックスタイムだ。

 新入団発表で掲げた目標は「200勝」。そこには「高い目標を設定して、そこから逆算して今はこうすべき、っていうところを考えながら、やっていくのが自分には合っている」という自分なりの考えがある。好きな食べ物は焼肉、寿司。辛い食べ物は苦手。“大物感”漂う前田の未来には期待しかない。

(鷹フル編集部)