米国でぶっ壊された自分の“常識” 自費で渡米した2週間…周東佑京が見た景色の全て

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】

12月に単身渡米…契約更改の場で明かした目的と得たヒント「充実した時間」

 ソフトバンクの周東佑京内野手が20日、PayPayドームで契約更改交渉に臨み、500万円アップの4500万円(金額は推定)でサインした。12月となり周東は、さらなる成長のヒントを求めて海を渡っていた。行き先は、米国。どんな時間を過ごし、何を感じて帰国したのか。「自分の概念と逆」と、自分の中での“セオリー”もぶっ壊してきた。

 今季は114試合に出場して打率.241、2本塁打、17打点。36盗塁で3年ぶり2度目の盗塁王にも輝いた。球団との交渉では「後半戦の頑張りだったり、打席数が少ない中で盗塁王になったことですね。そこは評価していただきました」と、やり取りの一部を明かす。シーズンからオフとなり、ようやく契約更改の日を迎えたことに「長かったなと、率直に思います。試合の始まりも早かったです」と深い息もついていた。

 周東は3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも、準決勝と決勝を米国で戦った。11月の秋季キャンプでは球団が「ドライブライン・ベースボール」のスタッフを招き、海の向こう側からヒントを選手に与えた。3月以来の米国での時間は、周東にとってどんな影響を与えてくれたのか。

「収穫もありましたし、こういうふうにやればいいんだなっていうのもある程度わかった中で、よくない打球が出た時にはこういうふうになっているとしゃべりながらできたので、すごく充実した時間にできたと思います」

 単身で米国に飛び込み、18日に帰国したばかり。球団の取り組みとしてではなく、自費での渡米を終えて19日は10時間以上も眠りについていたそうだ。目的はもちろん、ドライブラインに触れることで自分自身への理解を深めること。「数値的には、体が弱いのでもっとフィジカル面で上げていかないといけない」と、課題を明確にして帰ってきた。

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】

 打撃面では「なんていうんでしょうね、難しいな……」と言語化に苦労しつつも、ドライブラインからのフィードバックについてこう話す。「今までは回るな、じゃないですけどここを止めたらこういうふうになるっていろんな方に教わっていた。(ドライブラインでは)もっと回れっていうのは、初日からすごく言われました。軸回転っていうんですかね……」と言う。野球界の通説とは逆、自身も驚きを隠せなかったフィードバックの一部を明かした。

「今まで持っていた概念とは、逆のことを言われたと思います。今までは右腰や右肩が開いちゃいけないとか、言われていましたし、いろんなところで見る言葉ですけど。『もっと開け』って、逆に。右肩も右腰も、もっと開いてもっと回せって言うのは初日から最後まで言われたところでした」

 球界屈指の俊足の持ち主ではあるが、ちょこんと当てに行くような打撃はしない。「プロの内野手ですから」と、内野安打よりも、あくまでも野手の間を抜けるような打球を目指して、打席の中では自分のスイングを貫いてきた。科学的なアプローチで自分の課題を明確化して、得た答えが「もっと回せ」。ある意味では、これまで周東が貫いてきたスタイルを、後押ししてくれるような言葉だったのかもしれない。投手とのタイミングを取り肩を開かないようにする通説とは、真逆の理論に触れてきた。

 11月の秋季キャンプでも、発見はあったはず。その延長戦として海を渡ったかと思えば「もともと行く予定だったんです。9月か8月くらいから行く段取りをしてシーズンを過ごしていました」と、キャンプで触れるよりもずっと前からドライブラインに対して興味を抱いていた。「ちょうど2週間」という異国の地での時間。しっかりと手応えを感じているから、会見に臨んだ表情は充実感に溢れていた。

「シンプルに初日から比べても打球スピードが上がりました。あとは打球角度が抑えられたのかなと思います。2週間の練習の間ではありますけど。(体を回るという目的は)打球の強さもありますし、体の使い方ですかね。止めることで色々と制約ができてしまう。その制約をなくそうという話でした」

 走攻守において、打撃面に課題があることは明白。自覚もリーダーシップも、自分なりに芽生え始めた2023年。来季はきっと、新しい周東佑京を見ることができる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)