周東佑京はなぜ500万アップ? 球団が明かす評価…大幅昇給できなかったのは「妥当」

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・周東佑京【写真:竹村岳】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・周東佑京【写真:竹村岳】

500万円アップは「妥当」WBCでの世界一、盗塁王獲得も…三笠GMが明かした理由

 意外にも思えた内容だった。ソフトバンクの周東佑京内野手は20日、PayPayドームで契約更改交渉に臨み、500万円アップの4500万円(金額は推定)でサインした。終盤戦の活躍に加えて、3年ぶり2度目の盗塁王を獲得するなど存在感を示したシーズンでもあったが、査定の内容も周東は「打席数も足りていないので。後半はよかったですけど前半はあんな感じでしたし、妥当かなと思います」と受け止める。球団の具体的な評価について、三笠杉彦GMに迫った。

 入団6年目となった今季はキャリアハイの114試合に出場した。打率.241、2本塁打、17打点。36盗塁で、楽天の小深田とタイトルを分けあった。「ああいう形で行けばチームが勝てるんだと形としてわかりましたし。どれだけ塁に出るのか、僕が塁に出ることは重要だと思いました」と足への自信を深めた一方で、悔しさも忘れない。グラウンドに立ち続けた1人として、チームが3位に終わったことが悔しかった。

 3月にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも出場するなど、存在感としても、周東自身の知名度としても名前を広げるようなシーズンだったはず。その中で500万アップという評価にも真っ直ぐに向き合っていた。今季の周東の成績を、球団はどのように評価しているのか。三笠GMが、その中身を明かす。なぜ500万アップにとどまったのか?

「1年間のトータルの評価と考えていますので。この時期はいつもの話ですけど、後半活躍した方は、もっと……となりますし。例えば、投手と野手では違いますけど、大関投手なら前半に活躍して。後半に『あまり自信がない』というのは(他の選手でも)よくあることですけど、あくまでも143試合をトータルでのパフォーマンスを見るというのを考えていますので。そういう意味だと(周東選手は)前半戦は苦しんだところがあるのかなと思います」

 周東の打席数は「268」で、打席数だけで言えば三森大貴内野手の「316」や柳町達外野手の「375」よりも少ない。オールスターまでの打率.177と、ポジションを掴み切れなかったことを一番わかっているのも周東自身だ。「後半戦にかけては出塁もかけて、結果的に盗塁王も取ってくれた。1年間を通してやってくれたら、よりチームの力になる選手」と三笠GM。チームを支えた活躍に対する評価も、前半戦に成績に対する冷静な目も、双方を持ち合わせて契約更改を迎えた。

 12月13日の契約交渉で、田浦文丸投手が2040万円アップの3000万円でサインした。9月以降の登板は5試合のみでクライマックスシリーズでの登板もなかったが、シーズンを見渡せば45試合に登板。三笠GMも「後半調子を落とすとその印象が残るんですけど1年をトータルで考えた時に、前半かなりいいピッチングを繰り返してチームを助けてくれたので、そういうところをトータルで評価したということです」と話していた。どうしても忘れがちになってしまう春先の活躍も当然、球団は査定に含んでいる。

 そうなると、前半戦に結果を残せなかった周東の査定も、推定だが「500万アップ」で落ち着いたのだと、三笠GMは強調する。田浦と周東、ポジションをはじめ年齢も役割も全く違う2人を単純に比較するつもりはないが、球団が査定という観点で見ているのは、あくまでも年間を通した数字であることは間違いない。

 今オフの契約更改交渉では、4人がサインを保留した。チームも優勝を逃し、金銭面でも“厳冬”を迎えているイメージがあるが、三笠GMは「規定打席だったりとか、そこには届かないけど試合に出て頑張ってもらった選手が結構多い。ご自身が『頑張った』というところと、球団の査定システムに基づく提示に、イメージに差があって、いつもより(保留が)多くなっているのかなと」と言及する。周東は1発サインとなったが、少しでも仕事に集中できるように、選手側も球団側も知恵を絞っているようだ。

 周東自身は、シーズン全体をこう振り返る。「本当に終わりが良かったので来年につながる形はできた。ああいう形がもっと早くできていればチームの順位も変わったと思いますし、もっと上のチームに競っていけたと思うので、悔いは残ります」。9月&10月は自身初の月間MVPに輝いた。自分の成績に比例するように、チームも秋に息を吹き返した。来年こそ、シーズンを通した活躍を見せ、心から納得した表情で契約更改を迎えたい。

 来季から選手会長となる。「3年優勝できていないので、ファンの方々もなかなか喜べるシーズンを過ごせていない。全員で笑って、この時期はニュースとかを見ていても優勝旅行とかの話も出るので。そこに僕らが行ける立場になりたい。(優勝して乾杯が)したいです。そこが一番かなと思います」。目標は1つだけ。2024年、チームの先頭に立つのは周東佑京だ。

(竹村岳 / Gaku Takemura)