柳田悠岐は「思っていた人と違う」 一変した印象…近藤健介が感じた“裏”のすごみ

ソフトバンク・近藤健介【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・近藤健介【写真:藤浦一都】

小久保裕紀新監督は「レギュラーは柳田と近藤だけ」と明言…本人の胸中は

 チームメートとなったことで、印象は一変した。プロとして、徹底した姿勢だった。ソフトバンクの近藤健介外野手が15日、PayPayドームで契約更改交渉に臨んだ。今季は日本ハム時代の最終年(2022年)の年俸が適用されていたが、来季からはホークスでの年俸となる。交渉では5億5000万円プラス出来高(金額は推定)でサインした。移籍1年目を終えて語ったのは、柳田悠岐外野手のすごさだった。

 近藤と柳田は2021年の東京五輪でもチームメートになるなど、入団前から面識のある関係性だった。近藤のホークス入りで同僚となると、シーズン中もたびたび食事に出かけていた。ともに戦った2023年、2人は全試合出場を果たした。近藤は打率.303、26本塁打、87打点、出塁率.431で本塁打王、打点王、最高出塁率を獲得。柳田は打率.299、22本塁打、85打点。163安打で最多安打に輝き、ともに打線を牽引した。

 順番の前後はあれど、打線において近藤と柳田が離れたのは1試合のみ。近藤がスタメンから外れた6月15日のヤクルト戦(神宮)だけだった。3月にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一、ホークスには海外FA権を行使しての移籍という重圧も大きかった1年を終えて、改めて柳田悠岐とは近藤にとってどんな存在だったのか。

「やっぱりすごかったです。敵で見ていてもすごかったですけど、やっぱり規格外というか。そういうすごさもありますし、一番すごいと思ったのは準備。裏での姿勢だったり、こんな人なんだなっていうところも見えました。あとは最年長(野手)としてずっと試合に出ていたので、これは負けられないと思いながら後半は必死についていっていました」

 豪快で飾らない性格は当然知っていた。しかしどれだけ言葉として耳にしようとも、ベンチの裏の姿まで自分の目で見られるようになったのはチームメートになったからだ。「ずっとバットを振っています。裏のミラールームで話しながら、新鮮というか、思っていた人とは違いました」と印象が一変したことを認める。試合前のトレーナーやスコアラーらとのやり取りも含めて、柳田の結果に対するこだわりも準備も、近藤なりに見つめてきた。

「そこ(全試合出場)に強い思いを持って、1年間やっていた。いろんな裏方さんのサポート、トレーナーのサポートに本当に感謝しています。柳田さんも最年長として出ていたので、最後の方は休むわけにはいかないと思ってやっていました」

 来季は小久保裕紀新監督が2軍監督から昇格する。少しずつ起用の構想を打ち出す中で、明確に語ったのが「レギュラーは柳田と近藤だけ」ということだ。来季がプロ13年目で、チームとしても4年ぶりのV奪回を目指すシーズンとなる。指揮官からのレギュラー確約を踏まえて、近藤は襟を正し、背筋を伸ばした。

「そういうお言葉をもらうともちろん、よりプレッシャーは感じます。やらないといけない。監督も僕と柳田さんを計算していると思うので、その計算に応えられるように、そういう成績にしていきたいですし。まずは143試合、怪我なくグラウンドに立つこと。レギュラーはそうだと思っているので、立てる成績と、怪我をしないことだと思います」

 11本塁打がキャリアハイだった中、移籍1年目で26本塁打でキングとなった。周囲からのハードルも、当然高くなるだろう。「これが土台となって『これくらいの成績が近藤だ』となってくると思うので、そこに応えられるように努力しないといけない。課題もあるので、克服すれば違うような成績にもなってくる。どうなっていくのかなという期待感もあります」と、重圧を力に変えていく。柳田との両輪で、小久保ホークスの1年目を力強く支える。

 来シーズンの目標には「リーグ優勝、日本一はもちろんですけど個人的には今年の数字をちょっとずつ超えられるようにやっていきたいです」と挙げた。頂点に立つためにやってきた。柳田悠岐とともに必ず、福岡を歓喜に導く。

(竹村岳 / Gaku Takemura)