目立たない“中ロング”を「率先する」 武田翔太の新しい可能性…激白した自身の具体的な起用

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・武田翔太【写真:藤浦一都】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・武田翔太【写真:藤浦一都】

現状維持の1億5000万円でサイン、今年3月に結婚していたことも自ら公表

 30歳を迎え、生きる道を見つけた。迷いは、もうない。ソフトバンクの武田翔太投手が13日、PayPayドームで契約更改交渉に臨んだ。4年契約の2年目を終えて、現状維持の1億5000万円でサインした(金額は推定)。「僕としてはチームが勝つことだけを考えて、それ以外のことは何も考えずに。どれだけ点差が離れようが気持ちは変えずに、いい形で他のリリーフの方に、回すことだけを考えていました」と2023年を振り返る。自ら言及したのは、来季の自身の具体的な起用法だ。

 12年目の今季は29試合に登板して1勝2敗、防御率3.91。先発は2試合、中継ぎは27試合の割合で、46イニングを消化した。交渉でも球団から「中ロングで、シーズン途中からうまくフィットしてくれたのはありがたかった。先発が長いイニングを投げられなかった時、試合に勝つために、後半につなげるポジションなので、そういうところを受け持ってくれたのはありがたかったと言われました」とやりとりを明かす。

 来季は小久保裕紀新監督が2軍監督から昇格して、チームも生まれ変わる。すでにリバン・モイネロ投手や、大津亮介投手が先発に転向。藤井皓哉投手や松本裕樹投手はリリーフ専念など、具体的な起用を打ち出している首脳陣。先発でも中継ぎでも経験のある武田の起用は、どのようなイメージなのか。来季が13年目、偽らざる本音を漏らした。

「僕の希望としては、実際のところはあまりないです。チームが優勝するためにできることをやりたいですし、小久保監督、首脳陣の皆さんが行けと言えば行くのが選手なので。どこを任されてもチームのためになるようなプレーができるように心がけたいです」

 契約更改の場では毎年のように先発へのこだわりを口にしてきた。改めて先発について問われても「(こだわりは)ないです。自分がチームに貢献できるところはどこか考えた時に、そこが一番だと思う」とキッパリ言い切る。ローテーション投手や必勝パターンとは違って、影から支えるようにマウンドに立たなければならないロングリリーフのポジション。正直、自ら進んでやる選手はほぼいないだろう。来季13年目で、もう年下の選手の方が多い世代。今の自分がやるべきなんだと、覚悟は決まっている。

「やりたくないポジションかもしれないですけど、僕自身としては率先してやりたいなと思います。今年のポジションで言うと、点差が広がっている時に、どうやってひっくり返すのか、そのきっかけを作るために意気込んで投げていました。チーム全体を勢いづけるために。野球は最後のアウトを取られるまではわからないですから、だったら僕はそれにかけたいなって思っていました」

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・武田翔太【写真:藤浦一都】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・武田翔太【写真:藤浦一都】

 すでに首脳陣とも意見を交換して、来季はロングリリーフとして起用する方針を通達されている。「どういう状態であっても、後ろに勝つためにつなげていくポジションだと思うので、そういう気持ちは持った方がいい」と、誰かが担わなければならない位置だ。今季で言えば、ロングリリーフとして最も結果を残したのは武田だっただろう。「ほぼ毎日作りますけど、ずっと試合に携わるのは先発ではあり得ないこと。それは新鮮でした」と、新しい自分を見つけることもできた。

 武田が課題に挙げたのは、ウイニングショットだ。「先発だと打たせて取るのが主流ですけど、中継ぎだと大事な場面で打球を出したくない」と比較して語る。少ないリスクで打ち取るためにも、三振を奪う能力は必須。「今年で言えばスライダーとチェンジアップだったんですけど、フォークだったり、空振りが取れるように計算できる球にしていかないといけない」と、明確な道筋を語る。

 その筆頭がフォークだという。5月4日に登録抹消になった際も、首脳陣から磨いてくるように通達された球種だ。「今年もそれ(フォークの必要性)は感じました。けど、チェンジアップの方が指標がよかったのでそっちを使っていたんですけど、その指標を上回る変化球も覚えたい」と話す。中継ぎとして勝負するなら、クオリティの高い落ちる球の習得は必須。「藤井(皓哉)とか、千賀(滉大)さんのフォークは絶対に投げられない」と、自分だけの感覚を探すオフにする。

 自主トレは基本的に福岡で行う予定。今年3月に結婚していたことも、自らの口で公表した。「僕個人の目標というよりは、ここ数年チームが優勝できていない。そこを一番の目標にしたいですし、その上で、チームの優勝のために頑張ったら結果もついてくる。小久保監督を胴上げできるように頑張っていきたいです」と、何度も優勝という言葉で決意を表現した。来オフにチームが頂点に立った時、きっと武田の存在感が際立っているはずだ。

(竹村岳 / Gaku Takemura)