有原航平の胸に響いた監督室での10分間 「嬉しかった」小久保監督からの言葉

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・有原航平【写真:藤浦一都】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・有原航平【写真:藤浦一都】

契約更改交渉を行い、現状維持の年俸4億円で来季契約にサイン

 ソフトバンクの有原航平投手が9日、本拠地PayPayドームの球団事務所で契約更改交渉を行い、現状維持の年俸4億円(金額は推定)でサイン。3年契約の2年目となる来季に向けて「開幕ローテに入って、最後までローテから外れずに投げることしか考えていない」と語り、180イニング&5完投を来季の目標に掲げた。

 レンジャーズ3Aから自由契約となり、ホークスに加わった2023年。開幕を2軍で迎え、1軍昇格は6月に入ってからだったが、そこからはチームの柱として奮闘した。チームでただ1人の2桁勝利となる10勝をマーク。「平均して長いイニングを投げられたのは良かったですけど、完投は1つだけだったのでそこは増やしていきたい。勝ちはチームにつけてもらうものと思っているので良かった」と1年を振り返った。

 4年ぶりのリーグ優勝を目指す来季は、チームの柱としての奮闘が求められる。すでに開幕ローテ入りは内定。「やっぱり任されてるので、本当にやるしかないと思っていますし、身が引き締まるっていう思いはあります」と、視線を来季に向けた。

 2024年に向けた始動日となった秋季練習初日。有原は小久保裕紀監督から監督室に呼ばれた。その場で約10分間、来季に向けて会談し、早々に伝えられたのは、来季の開幕ローテ内定だった。「来年頼むぞ」「チームの軸として、投手の軸としてやってほしい」。新体制の始動日に伝えられた“ローテ手形”だった。

 それよりも有原が「嬉しかった」ということがある。「最初は2軍にいて、1軍に上がってから後半戦をしっかり投げていたっていうのを、(2軍監督の)小久保さんが見てくれていた。そうやって選手をずっと見てくれているというのは感じたので、それが嬉しかったですし、来年に向けてやる気が出ました」。1軍に昇格してからも、自分の投球を見てくれていた。その“親心”が響いた。

 投手としてオフを前に役割を明確にし、調整のメドを示してくれたのも歓迎した。「大体計算ができるというか、キャンプに入った段階でも開幕まではまだ実際2か月あるので、そういうのを考えつつ、自分のスケジュールでできるのは本当にありがたいなと思います」。小久保監督から伝えられたメドは「開幕に合わせてくれ」。惑わされることなく、目指すところはハッキリとしている。

「中5日でも中4日でも投げさせてもらえるような、僕自身はたくさん投げたいと思っているので。今年は中5日がCSだけだったので、後半戦で勝負かかった時にどんどん投げさせてもらいたい。それをするには、しっかり投げていないといけないんで、最初から頑張りたいなと思います」

 来季、有原に求められるのは“エース”としての働き。当然、オリックスと戦う開幕投手の最有力候補にも挙がってくるだろう。「開幕ローテから最後まで外れずに投げることしか考えていない。優勝することが1番の目標」。小久保監督も期待する大黒柱。来季は1年を通してチームを支えてくれるはずだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)