なぜ水谷瞬が現役ドラフトの対象に? 三笠GMが語った“球団事情”と戦略

球団事務所を訪れたソフトバンク・水谷瞬【写真:福谷佑介】
球団事務所を訪れたソフトバンク・水谷瞬【写真:福谷佑介】

日本ハムの左腕・長谷川威展を獲得「層が厚くないところ」

 ソフトバンクは8日、現役ドラフトで日本ハムの長谷川威展投手を獲得し、水谷瞬外野手が日本ハムに移籍することが決まった。今季終盤、2軍監督だった小久保裕紀監督からも高く評価されていた水谷が現役ドラフトの候補となったのか? そして中継ぎ左腕の長谷川威に白羽の矢を立てたのか。三笠杉彦取締役GMの言葉からその狙いを探る。

 水谷は2018年のドラフト5位で石見智翠館高から入団。俊足強打の大型外野手として期待されていたものの、ここまで1軍出場はなかった。プロ5年目の今季はオープン戦途中まで開幕1軍を争っていたものの、2軍で開幕を迎えると、1軍昇格はなし。2軍では終盤の8月、9月に3割近い打率をマークし、3本塁打を放っていた。

 三笠GMも「今年、本当に伸びてて、期待もしている選手ではありました。構想外というわけでは全くない」と言い、来季に期待する選手の1人だった。そんな大砲候補を現役ドラフトの対象となったのは、チームの編成上によるところが大きかったのだろう。

 ソフトバンクの外野手は各ポジションの中でも層の厚い位置である。柳田悠岐外野手、近藤健介外野手が不動のレギュラーとして君臨し、来季は周東佑京内野手の中堅起用が濃厚。他にも正木智也外野手、柳町達外野手、生海外野手らが控え、大砲候補の笹川吉康外野手もいる。

「ポジションごとのデプスというか、そういうのも考えてというところ。現役ドラフトのルール上、良い選手を供出すれば、順番が早くなるというルールですから、そのバランスの中で判断させてもらったというところです」と三笠GMは語る。チーム編成上、外野手はなかなかレギュラーの遠いポジション。チームとしての現役ドラフトの戦略も考えた上で結論だった。

 選手獲得の狙いについて三笠GMは「ピッチャー中心に、二遊間できる内野手と、そんなような感じで考えていました」と明かす。今季の課題とされた投手陣、そして近年、なかなか若手が育っていない二遊間に狙いを定めていたという。

 その中で、長谷川威の獲得については「左のスリークォーターで、中継ぎとして、逆に言うとあまり我々の層が厚くないところですので、チャンスがあるんじゃないかなと思います」と語る。今オフに嘉弥真新也投手を戦力外とし、左の中継ぎといえば、田浦文丸投手くらい。手薄となっているポイントを埋めうる存在として期待を寄せた。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)