強いホークスを取り戻すために… 中村晃が考える“今必要なこと”と“美しさの形”

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・中村晃【写真:藤浦一都】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・中村晃【写真:藤浦一都】

「能力もそうですし、考え方もそうですし、レベルアップしないといけない」

 勝つ喜び、頂点に立つ感動を知るからこその言葉だろう。7日に契約更改交渉を終えた中村晃外野手の言葉が印象的だった。

「(来季の目標は)優勝ですかね。優勝を知らない選手も増えてきたので、優勝して喜びたいと思います。優勝っていいもんだなっていうのを知っているのと知らないのじゃ、モチベーションとかも変わってくるじゃないですか。優勝したことのない選手は、あの喜びはわからないわけですから」

 ホークスは今季3年連続でリーグ優勝を逃した。リーグ優勝を果たし、2020年まで4年連続で日本シリーズを制して常勝軍団と言われた。だが、2021年からパ・リーグでは3年続けてオリックスの後塵を拝し、日本シリーズにも出場できず。その間に徐々にチームの顔ぶれは変わり、当時の栄華を知る者も次第に減ってきている。

 チームを引っ張る中心にいるからこそ、中村晃には危機感が募る。2023年シーズンが終了した10月16日のクライマックスシリーズ・ファーストステージ第3戦後。ZOZOマリンスタジアムの通路で「やっていることは去年と一緒なので。それを全員がどう感じるか。もう1回、しっかりとチームを作り直すしかないんじゃないかなと思います」と警鐘を鳴らしたのが、他でもない中村晃だった。

 数年前までパ・リーグで無類の強さを誇ったホークスを、どうすれば取り戻せるのか。中村晃の考えを問うと、こう答えが返ってきた。「試合に出ている選手、出ていない選手、みんな個人個人がレベルアップすることじゃないですか、やっぱり。能力もそうですし、考え方もそうですし、レベルアップしないといけないのかな思います」。野球の力、技術の向上は当然。その上に“考え方”もレベルアップさせないといけないと言う。

 3年続けて優勝を逃しているということは、オリックスと比べて力が劣っているからに他ならない。それは力や技術だけでなく、姿勢にも及ぶはず。「全員がレギュラーを取ってやるんだって、しっかりレベルアップして、キャンプインしてくるかどうかじゃないですかね。強いチームはそうじゃないかなと思います」。どれだけ個々人が危機感を持って取り組むか。どれだけの選手が本気でレギュラーを奪いに行こうと思っているか。そんな考え方1つも大事だと、常勝軍団を知る34歳は考える。

 王貞治球団会長の薫陶を受けてきた小久保裕紀監督は新生ホークスに対して「美しさ」を求めている。野球における美しさとは何たるものか? 中村晃は「わからないですけど、でも『ちゃんとしなさいよ』ってことじゃないですか。人間としても、野球選手っていうんじゃなくて、社会人としてちゃんとしなさいよっていうことじゃないすか。野球だけじゃない。それじゃないかな、と僕は思います」と、己なりの“美”の捉え方を示した。

 まずは自身のレベルアップに全神経を注ぐ。「監督も新人の選手に言っていたように、まずは自分のこと。チームを勝たせるのは監督ということなので、自分のことをしっかりやります」。自分が100%のパフォーマンスを発揮できてこそチームに貢献できると言うこと。強いホークスを取り戻すため、中村晃はまず己を徹底的に磨き上げる。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)