背番号は正木、柳町と連番になり「決まる前から連番になればと思っていた」
レギュラーへの明確な道筋を語った。ソフトバンクは4日、福岡市内の商業施設で新人選手15人の入団会見を行った。慶大から3位指名を受けた廣瀨隆太内野手の背番号は「33」となった。大学の先輩でもある正木智也外野手、柳町達外野手と連番となり「意図的にやっていただいたのか、たまたまかわからないですけど、決まる前から連番になればいいなと思っていたので嬉しいです」と喜ぶ。内野守備を器用にこなす22歳が口にしたのは、二塁で勝負するという決意だった。
慶応義塾の幼稚舎から“慶応一筋”で育ってきた。大学時代には東京六大学リーグで通算20本塁打をマークした。誰しもが通る入団会見という“門出”を終えて「夢見ていたユニホームだったので、実際に袖を通してプロになったんだなと実感しています」と初々しく笑う。これからがスタートではあるが、この日だけは実感と喜びを噛み締めていた。
会見中で自身の持ち味については「長打力だと思っています。右の長距離砲として期待されていると思うので、その期待に応えられるように」と胸を張る。一方で守備力も魅力で、大学時代のリーグ戦では一塁、二塁、三塁などを守った経験がある。「内野はどこでもできるように練習してきました」と言う中、狙うべきポジション、自分自身の明確なビジョンを口にした。
「もちろん(二塁守備は)大変だと思いますけど、僕みたいなタイプでファースト、サードっているんです。セカンドができるのが僕の長所でもあると思うので。プロの世界でどこまで通用するかわからないですけど、希少なポジションを奪いたい気持ちがあります。セカンドの右バッターで、長距離を打てるのは希少な存在だと思うし、ポジションで定着できるように頑張っていきたいと思っています」
仮に一塁なら中村晃外野手らとの勝負になるだろう。三塁なら栗原陵矢外野手や井上朋也内野手、リチャード内野手と打力が持ち味の選手がひしめいているだけに、レギュラーを奪うには自分の長打力と守備力を存分に生かしたいというのが廣瀨の本音だ。「これまではいろんなところを回ることが多かった」とアマチュア時代を振り返るが「打てるセカンド」の価値は、自分だからこそわかっている。
本格的に二塁に取り組み始めたのは高校3年の時で、3年夏には背番号4を背負った。県大会の4回戦で東海大相模高に敗退したが、廣瀨は本塁打を放つ活躍を見せていた。「浅村選手や牧選手はセカンドであれだけ打てるのはプロ野球でも希少な存在だと思います。小久保監督も、セカンドをされていたこともあると思いますし」と続ける。球界でも希少価値の高い「打てるセカンド」を目指せる土台が自分にはある。しっかりと自分の長所を認識していた。
今季、二塁で最多出場したのは三森大貴内野手の91試合。次いで牧原大成内野手の44試合だった。すでに牧原大は小久保新監督と意見を交換して、来季は二塁でレギュラーを狙うことで意見が合致している。三森も開幕1軍を逃したものの、打率.260、77安打、14盗塁と一定の結果を残した。ただでさえタイプが違う2人が競争しようとしている二塁に、右打ちで長打が打てる廣瀬を投入する。2月1日から、毎日がアピール合戦になるはずだ。
明確にプロ入りを志したのは、大学4年になってからだった。結果が問われる“ドラフトイヤー”で廣瀨も「プロを意識し始めて、それまではバッティングを磨こうという気持ちだったんですけど、4年になって『そろそろプロのことも……』って考え始めると、やっぱりセカンドで勝負したい気持ちになりました」と、心境の変遷を語る。3年時には一塁としての出場が増えていたが、言葉通り、4年時には二塁を主戦場として春に5本塁打、秋に2本塁打を放ち3位指名を勝ち取った。
「もちろんプロ野球選手になりたいというのは思っていたんですけど、ラスト1年、“ドラフトイヤー”ということでよりプロを意識するようになりました」
小久保新監督もプロ入り当初は二塁を守り、1995年にはゴールデングラブ賞にも輝きながら28発で本塁打王を獲得した。廣瀨は指揮官の現役時代について「ホームランをたくさん打てるのはもちろんですけど、勝負強くて、すごく仲間に信頼されている」と印象を語る。会見中でも、目標とする選手に小久保新監督を挙げるなど、自分が進むべき道筋はハッキリとわかっている。
今後、起用を決めていくのは首脳陣ではある。だからこそ、ヤクルトの山田哲人内野手や楽天の浅村栄斗内野手のように「打てるセカンド」になれる逸材を、大切に育ててくれるはずだ。1月の新人合同自主トレを経て、2月1日。自分の全てを生かして、二塁の競争を勝ち抜いていく。
(竹村岳 / Gaku Takemura)