盛り上がる大胸筋…驚異の長打力の源は? ドラ3廣瀨隆太の最大の武器は“考える力”

ソフトバンクと仮契約を結んだ廣瀨隆太【写真:福谷佑介】
ソフトバンクと仮契約を結んだ廣瀨隆太【写真:福谷佑介】

高校時代から野球ノートを書くのが日課「その時の感覚を書いていた」

 ソフトバンクからドラフト3位で指名された廣瀨隆太内野手(慶大)が30日、都内のホテルで仮契約を結んだ。契約金6000万円、年俸1000万円(金額は推定)で1年目の契約にサインし「徐々にこういうイベントがあるごとにプロになるんだなっていう自覚、実感が湧いて来ている感じがします」と初々しく語った。

 慶応幼稚舎から初となるプロ野球選手。小学、中学、高校、大学と“慶応一筋”で育ってきた。契約金、年俸の使い道を問われても「まずは貯金しようと思います。実感が湧いていないというか、まだお金を稼いだことがないので、どれくらい凄いことなのかあまり理解していないというのが正直あります」と“堅実さ”を滲ませた。

 廣瀨にとって人生の転機は慶応高の森林貴彦監督との出会いだった。今夏の甲子園で同高を107年ぶりの優勝に導いた指揮官の指導方針は自主性の尊重。廣瀨も高校に入ると、森林監督から「自分で考えてやれ」と指導を受け「どうやったら上手くなれるんだろう、というのを常に高校時代に考えながら練習していた。それが大学でも考えることに繋がり、ここまで成長できた」という。

 高校時代から練習、試合後に“野球ノート”を書くことが日課だった。「その時の感覚というのをノートに書いていました。そこまで考えて野球ノートを書いていたというのは、他の選手にはないかなってちょっと思っているので、森林さんの指導はすごく合っていたと思います」。小久保裕紀新監督も選手に勧める野球ノートを書くこと。常に考え、そしてノートに書き留めてきたことが、廣瀨の礎を築いた。

 東京六大学リーグでは阪神の岡田彰布監督に並ぶ歴代3位の通算20本塁打を放った。プロでもトップクラスと言われる170キロを超える打球速度を誇り、ホークスでも柳田悠岐外野手に次ぐレベル。そのパワーを生み出すのが、大きく盛り上がった大胸筋が分かるほどの肉体だ。

「とにかくウエイトトレーニングを大学時代は頑張ってきました。トレーニングのコーチもしっかりついてくれてやっていたので、フィジカル面ですごく成長したというのが、この長打力に繋がってるかなって感じています」

 トレーニングの中でも「クリーン」と呼ばれるウエイトリフティングの基本動作が得意という。全身の瞬発力が求められ、そのクリーンでは150キロを挙上。慶大野球部の中でも群を抜いていたといい「そこは自信があります。基本的な投げるのも打つのも瞬発力。バッティングにも関係しているかなって思っています」と大きな胸を張る。

 一度、福岡を訪れて施設も見学。「日本一の施設だと思うので、あそこで上手くならなかったら、自分の努力不足ということになると思う。しっかり練習して上手くなりたいです」。1年目は二塁手で牧原大成内野手や三森大貴内野手らとの競争に挑む。「いずれはホームラン王を取れるような選手になりたい」と意気込む大砲候補に期待が膨らむ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)