「逆に誰かいますか?」 選手会長“抜擢”の舞台裏…今宮健太が周東佑京を選んだ理由

選手会長に任命されたソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】
選手会長に任命されたソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】

ファン感謝祭「鷹奉祭」で発表…今宮が明かす胸中「めちゃくちゃ悩んだ」

 どんな経緯を経て、選出されたのか。その舞台裏に迫った。ソフトバンクは26日、ファン感謝祭「鷹奉祭」をPayPayドームで開催した。オープニングセレモニーで、今宮健太内野手が周東佑京内野手を呼び、選手会長を託すことを明言した。新選手会長となった周東は「選手会長にもなって、年齢も上がってきている。より責任感を持って1年間やらないといけない。1年間を通して活躍ができるように」と胸中を語った。

 ホークスでは2010年の川崎宗則さんに始まり、本多雄一(1軍内野守備走塁兼作戦コーチ)、松田宣浩さん、長谷川勇也さん(R&D)、柳田悠岐外野手、中村晃外野手、今宮健太内野手とそれぞれが「2年周期」で次のリーダーに託してきた。周東本人は「どんな経緯なんですかね?」と言う。リーダーとしてのバトンを受け取ることになり「健太さんも『いろんな人に相談した』と言っていた。『頼むぞ』と言われました」と明かした。

 周東は来年2月で28歳となる。中村晃、今宮は30歳での就任だっただけに、少し若い。今季は114試合に出場して打率.241、2本塁打、17打点。36盗塁でタイトルにも輝いたが、まだまだ立ち位置は確固たるレギュラーではないはずだ。なぜ、周東に選手会長のバトンが回ってきたのか。今宮が、その舞台裏を明かした。

「一応、先輩方に話もしながら、誰がいいのかという話もしましたけど。チームが若返りをというところもあったので、それを考えると佑京という選択がいいのかな、と。最終的には自分で決めました」

 中村晃や、チーム内の歴代選手会長にも、意見を聞いた。その上で「拓也(甲斐捕手)ではないかな、と。もう1個若い世代にしてもらう方が、チームにとっていいのかなって思ったので」と、周東の若さも要因の1つだったと続けた。生え抜きで、今宮よりも年下なら甲斐、牧原大成内野手、武田翔太投手らがいる。武田より下は1年空いて、周東の1995年生まれの世代だ。今宮にとっては4歳年下にあたる中で「めちゃくちゃ悩みました」と吐露する。

「(誰を選ぶかと)そうなった時に、拓也も拓也で来年勝負の年だと思う。僕も来年以降は自分のことだけを考えてやるという選択だと思います。正直、めちゃくちゃ悩みました。佑京にとっても、キャプテンも不在ですから、やることも多くて大変だと思いますけど。あいつにとってはプラスに働くんじゃないかなと思って、最終的に判断したので」

今季まで選手会長を務めたファン感謝祭に参加したソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】
今季まで選手会長を務めたファン感謝祭に参加したソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】

 今季、ホークスで17年プレーした巨人の松田宣浩さんが現役を引退した。2022年オフにホークスを退団する際、松田が次世代を託した柳田、中村晃、今宮の3人。チーム内での存在感も踏まえて順当に歴代の選手会長を務めてきたが、今宮は今回の人事について「誰か、いますか? 逆に……」と、ある種の憂いすら抱いている。何度だって繰り返して言葉にしてきた世代交代。チーム全体のことを考えても、誰かがリーダーとして育っていかなければならない。

「その間がいないんですよ。ということは、若い選手が上がってこられていないというのは正直、ある。それくらいの世代、松田さんやギータさんの時は、僕もある程度、出始めの時だった。佑京が今は27歳ですか。そこはもう、思い切っていいのかなとも思いました」

 周東とは自主トレをともにしたこともある。今季は終盤戦の活躍を踏まえ、周東の中に確かなリーダーシップが芽生えたシーズンだったことは間違いない。今宮の評価は少し厳しく「ロッカーの姿ではすぐに投げやりになっちゃうタイプ。自分の中で制御できればもっといい成績、いい形でいくんじゃないかなっていうのはプラスして思いました」。その上で「『もう無理や』っていう性格がいい方向に働くこともある。選手会長っていうのは人にも見られる。姿が変わってきた中で、いいものが出るんじゃないかと、最終的に判断しました」と期待も込めての抜擢となった。

 結果論ではあるが“チーム健太”から連続して選手会長が生まれた。「別に僕が何か、バッティングとかを教えたわけではない」と首を振る。伝え続けてきたのは“人として”の部分ばかりだ。「人としてのことを教えたというか、大事さというか。ただ野球をやっておけばいいという感覚が、僕はすごく嫌いなので。1人の人間としてという部分が、僕が気にかけるところ」と強調した。今宮の教えは、必ず周東にも受け継がれているはず。世代交代、次世代のホークスの中心へ。周東になってもらわなければならない。

 周東は「より責任感を持ってやらないといけないというのは感じています」と、何度も背筋を伸ばした。まずは自分の成績のために、準備をする姿を必ず後輩は見ている。自分なりに、必死にリーダーシップを抱こうとしてきたのは確か。そんな周東に「選手会長」という、重い肩書きがついてきた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)