捕手併用は谷川原健太次第「専念しなさい」 小久保裕紀監督が独占インタで明かした構想

ソフトバンク・谷川原健太、小久保裕紀新監督、甲斐拓也(左から)【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・谷川原健太、小久保裕紀新監督、甲斐拓也(左から)【写真:藤浦一都】

「谷川原が負けてしまえば、そうなる(甲斐が143試合被る)かもしれない」

 ソフトバンクの小久保裕紀新監督が「鷹フル」の単独インタビューに応じ、思い描く来季の構想などについて語った。その中では来季の捕手の起用についても言及。谷川原健太捕手を甲斐拓也捕手のライバルに指名し“捕手併用”の可能性についても言及した。

 この秋季キャンプで小久保裕紀監督は、ユーティリティとしてチームに貢献してきた谷川原健太捕手を来季は捕手に専念させることを本人に通達した。谷川原はキャンプ第4クールは筑後の投手キャンプに合流。実際に投手が投げる生きたボールを受けて、学んだフレーミング技術を実践するためで、小久保監督も「『拓也と勝負って言って送り出した。最終日に『外野で起用することはない』という話をはっきりした」と明かす。

 2015年ドラフト3位で豊橋中央高からホークスに入団した谷川原は今季が8年目。走攻守3拍子揃った選手で、捕手だけでなく、外野手としてもハイレベルな能力がある。今季は捕手で20試合に出場したほか、外野でも35試合に出場。使い勝手のいい存在だった一方で、レギュラーには手が届かず、なかなかその挑戦権を与えられることもなかった。

 この現状を憂いていたのが、小久保監督だった。

「僕らも悪いんですけど、便利屋使いで、しかも、ものすごい能力が高いんですよ。外野の守備固めとしても今のチームでは1番手か2番手ぐらい。足も速いし、キャッチャーもできるから、3番目のキャッチャーとしてものすごく便利だよねっていうところの扱いだった。彼自身もまだ26歳で、そこを目指してプロ野球界に入ってきたわけじゃないと思うんですよね」

 プロ野球選手たるもの、誰もがレギュラーを目指してこの世界に飛び込んできている。高い能力を持ちながら、その器用さ故に“便利屋”として扱われる谷川原の現状に疑問を感じ、コーチ陣とも議論を重ねた。「谷川原がそこ(甲斐)のポジションに一番匹敵するかなというのをコーチの人と話を擦り合わせた。それを行動に移したというところ」。甲斐と争える“1番手”は谷川原、というのが導き出された考えだった。

 そこからさらに踏み込み“捕手併用”の可能性についても言及した。「谷川原が負けてしまえば、そうなる(甲斐が143試合被る)かもしれない。拓也の年齢のことも含めながら、拓也にもうひと踏ん張りさせるのも、そういう選手が出てこない限りは、このままズルズルということになりかねない」。現時点で併用は“谷川原次第”。それだけ谷川原への期待が大きいということだろう。

「どういう姿で来年の春のキャンプインに来るのか。ハッキリと『外野のグローブは作らなくていい』『キャッチャーに専念しなさい』と送り出しているわけなんで。谷川原がキャッチャー1本で、どんな姿で2月1日に入ってくるのかすごい楽しみです」

 小久保監督が大きな期待を寄せる“捕手”谷川原。今季、ホークスは甲斐が130試合でスタメンマスクを被り、9試合が嶺井博希捕手、そして4試合が谷川原だった。この割合がどう変わってくるか。それは、このオフの谷川原にかかっている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)