野村勇は「打撃が伸びればどこかで競争させたい」 小久保監督のコメント全文

ソフトバンク・野村勇(左)と小久保裕紀新監督【写真:竹村岳】
ソフトバンク・野村勇(左)と小久保裕紀新監督【写真:竹村岳】

「ホームラン10本、15本打ったとしても、出塁率が2割8分じゃなかなか使えない」

 ソフトバンクは11日、野手が宮崎、投手が筑後で行う秋季キャンプの第3クール2日目を行った。この日、チームが招いている「ドライブラインベースボール」からのフィードバックを受けた野村勇内野手に、小久保裕紀監督も大きな期待を寄せた。練習終了後の小久保監督のコメント全文は以下の通り。

――今日はサイン会を。
「現役の時によくやっていたから。あんまり練習中はしないから、するときはまとめてする」

――30分以上書いていましたけど、腕疲れませんか?
「大丈夫よ、そんなん。慣れてるよ。今の子はみんなあれですね、動画撮りながらサイン貰うんだね。綺麗に書かないとアカン」

――一字一字丁寧に書いていた。
「現役の時とは違うんでね、サインが。辞めてからそんなに書く機会がないんで、ちょっと分かる字にしたんですけど、余計に時間がかかります」

――今日は野村勇選手がドライブラインのフィードバックを受けた。今年は伸び悩んでいましたが。
「そんなに打席には立ってないからね、評価はしにくいですけど、でもあの肩と足はめちゃくちゃ魅力的なんでね。バッティングが伸びてくれれば、どこかで競争させたいなっていう選手なんで、課題はバッティングで。今回は12日(全て)バッティングで。本当に守備していないらしいけど」

――ポジション的には色々できる。
「そうですね、今のところ外野では考えていないですけど、サード、ショート、セカンドで十分、魅力的な肩と足はありますよ。でもバッティングが勝負できる形にならんとね。だから、今回のドライブラインで確認しながら、村上さん(1軍打撃コーチ)がちょっといなかったんで、僕が替わりに入って、村上さんとも情報共有しながらやっていきます。比較的あまり欠点のないスイングだったんで、処方がちょっと難しいですね。何人か見ているとわかってきますね、やっぱり」

――村上コーチと小久保監督でずっと修正してきた。
「今日の取り組みを見たら、悪い癖が消えていたんで。多分どっちから言っても大丈夫なんですよね。手が前に出るから、これは前に出ない方がいいんで。今日は下の使い方ばっかりしていましたけど、その下の使い方をしたら綺麗にここ(お腹の前)でパチンて(手が)返っている時があったから、それはそれでどっちからアプローチするかっていうだけのところなんで」

「下の使い方が根本的に硬くて、乗りが悪いっていうフィジカル的なところ、モビリティ的なところが結構問題だって言われていたんで。股関節への乗りが全然硬いんで、それが下の使い方がうまくいってない要因らしいんで、だから使い方というよりもまず関節を柔らかくしなくちゃいけないですね。そこに気づけたからよかったじゃないですか」

――肩と足は本当に魅力的だと。球界で見ても秀でている?
「今日の測定で『オリンピック選手』って言われていた。何千人も測った中でも、7番目ぐらいに身体能力的には高いって。すごいって。でも、まだ20%ぐらいしか発揮してないからね、この世界では。本人にも言ったんだけど『そんな伸びしろありますか?』って言うとったけどね」

――筋肉の質がいいとかがあるんでしょうか。
「それもあるでしょうね。でも、すごい数値でしたよ。平均よりはるかに高いところに入ってましたよ」

――それを活かさない手はない。
「そうなんですよ。さっき(報道陣が話を)聞いたときに、ちゃんと自分の言葉で喋ってました? 分析できてました? それが心配なんですよ。眉毛太くしているようなキャラはいらないんでね」

――確実性のところはタイミング。
「そうです。フォームの方はあまり悪くなかったんで、あなたの課題はタイミングですってハッキリ言われていた。それはもう全員に繋がることなんで。どんな綺麗な打ち方をしても、タイミングが合わないと打てない」

――出番を増やすにあたって率は残さなくちゃいけないのか、それとも本塁打数を増やす方が……。
「いや、そっちじゃない方がいいでしょうね、やっぱり率がないと。あのタイプで2割そこそこで、ホームラン10本、15本打ったとしても、出塁率が2割8分じゃなかなか使えないですもんね。今日(の測定)もですけど、打球角度が高すぎるんで、それをもうちょっとライナーにすれば、ヒットが出るんで。根本的には全部ポップフライ系の打球なんで、それをまずライナーにしていきましょうねっていう話をしていたんで。それに取り組めば、今まではポップフライで終わっていたやつが、ひょっとしたらヒットになるかもしれない。向こうは全部そういうアプローチなんで、生海にしてもポップフライが多いからアウトですよね。それが詰まりながらでも、前に飛んだらヒットの確率は出ますよね、みたいなアプローチなんで。勇も一緒のことを言えるんじゃないですかね、ちょっと角度が高いです」

――打球アングルを変えるためにはバットの軌道を変えればいいのか。
「バットのボールへの入り方とかもドリルがあるんですけど、今日はまだそこまでいってない。今日はまだ下の使い方だったんで。ドリルがずっとあって、12月にアイツが行くかどうかは別として、コーチもずっと学んできて。医者みたいなもんだよね。何の薬を処方したら良くなるかっていう、まず何の薬を処方するかが大事なんで、その管理がいります。あれを使いこなせるには」

――アップ中のシャトルランも楽しそうに見ていた。
「シャトルランはずっとやらせているんで。シャトルか、と舐めていたヤツがおったみたいですけど、途中で練習やめたヤツもいたんで、1年生に。体力不足ですね」

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)