首脳陣が「ありがたい」と語る周東佑京の姿勢 “圧倒”されるほど訴えた「行きたい気持ち」

ソフトバンク・周東佑京【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・周東佑京【写真:荒川祐史】

14日の第1戦で途中交代、この日は練習から通常メニューを消化するもベンチスタート

 ソフトバンクは15日、ロッテとの「パーソル・クライマックスシリーズ・パ」ファーストステージ第2戦(ZOZOマリン)に3-1で勝利した。先発の有原航平投手が6回1失点で試合を作ると、打線は8安打3得点と投打が噛み合った。その中で、周東佑京内野手がベンチスタート。出場がないまま、勝利の輪に加わっていた。

 14日の初戦には「1番・中堅」で出場するも、4打数無安打で8回の守備から途中交代となった。この日はチームとともに球場入り。アップの前に森浩之ヘッドコーチと会話するシーンがあった。その後はフリー打撃にも参加。打撃回りでは2番目を打っていたことを踏まえてもスタメン起用かと思われたが、一転してベンチスタートとなった。

 周東は9月29日の西武戦(PayPayドーム)で左足を痛めて途中交代。翌日の午前中に病院で受診し「左ハムストリングの軽度の肉離れ」と診断されていた。その後も練習量を調整しながら、なんとかチームに貢献しようとグラウンドに立ってきた。この日の練習中に言葉を交わしていた森ヘッドコーチが、試合後に状態について言及した。

「そんなには悪くはないんですけど。本人はやる気やけど、この先もあるからね。明日のことも、その先も考えて。前回のところ(負傷箇所)とそんなに大きくは変わっていないけど、今日は無理をさせなかったというだけ。三森が頑張ってくれたので、よかったと思います」

 練習中の会話についても「本人と話をして、どういう状態なのかを確認しながら。それを持って、監督ともトレーナーとも話をしつつ」と説明した。首脳陣が周東を止めるような形だったようで「周東の行きたい気持ちをグッと抑えて、我慢させました。負けたら終わりの状況で、行きたいと思うのは当然だと思う。ありがたい気持ちですから」と今はただ回復を待つしかない。

 試合前の打撃練習では、いつものようにバットを振っていた。見守っていたのは吉本亮打撃コーチで「変化もなく、ちゃんとスイングはしていましたね」と印象を語る。グラウンドに立ちたい周東の前のめりな気持ちは「出たい気持ちは強いと思いますけど、そこは我慢せざるを得ない部分もあると思う」と、吉本コーチにも伝わっていた。代役として1番を託した三森が3安打。「あれだけ頑張ってくれたらチームに勢いがつくよね」と、一丸となって掴んだ勝利だ。

 周東は試合中、ベンチから戦況を見つめた。3回に柳田が適時打を放った際には、他の選手とともに喜びの声を上げていたという。病院には行っていないようで、森ヘッドコーチも「明日はどうなるのか、トレーナーの報告を聞いてから。スタメンで使うかは判断します」と話すにとどめた。まずは16日、大阪行きの切符をつかむ。その先に行くためには、必ず周東の力が必要になる。

ソフトバンク・周東佑京(左)【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・周東佑京(左)【写真:荒川祐史】

(竹村岳 / Gaku Takemura)