初陣は“海野監督”…今年も継続する選手によるタクト 小久保2軍監督のコメント全文

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:米多祐樹】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:米多祐樹】

宮崎フェニックス・リーグの“開幕投手”は育成の前田純…4回1失点の評価は

 ソフトバンクの2軍は10日、宮崎県内で行われている秋季教育リーグ「宮崎フェニックス・リーグ」で日本独立リーグ選抜と対戦し、2-1で勝利した。打線は1点を追う5回1死一、二塁で渡邉陸捕手が右前への適時打で同点に追いついた。渡邉陸は3打数3安打1打点2盗塁の活躍を見せた。2死二、三塁から相手の暴投で勝ち越した。先発の前田純投手は4回を1失点の好投。2番手のダーウィンゾン・ヘルナンデス投手が1回無失点。3番手の三浦瑞樹投手が4回無失点で締め括った。試合後、小久保裕紀2軍監督の一問一答は以下の通り。

――前田投手に初戦の先発を託した。
「昨日(9日)が雨で流れて、そのままスライドさせたんですけど。やっぱり、コントロール。四球で自滅するタイプではないことはもうわかっているんですけど、ゲームは作れるなというのは、3軍ではね。三浦しかりなんですけど、なんでゲームを作れるのか、相手が独立リーグでもあったので、ハッキリと分かりましたね」

「2軍では振ってくれない高さの変化球、みんな振っていたでしょう。あれで、多分(前田は)11勝できたっていうのは。三浦も3軍では抑えられるってことになっていたんやなって思って。やっぱり、その上に行くには、もう少しゾーン内の力は必要でしょうね。前田の場合は2軍でもね、真っ直ぐで空振りを取れたりしていましたけど」

「でも、三浦の場合はゾーンに来る球をもう少し強くせんと、捕まるやろうなという感じ。球が良かったから抑えたという感じには見えなかったので。あのスライダーとかを振るんです。投げた瞬間にボールやなって思っても振るので、あれが2軍クラスだったら振らない。1軍だったらもっと振らない。今日のピッチングに満足せずにやってほしいです」

――横から見ながら、監督も納得する部分があった。
「ベンチでずっと話していたので。逆に、独立リーグだったから分かりやすかった。普段は独立としないので、感じましたね」

――抑えて当然という相手だった。
「当然です」

――昨年の宮崎フェニックス・リーグと同様、選手に監督をさせていた。
「今日は海野。明日(11日)は1軍の選手が来るので、明日と明後日(12日)は置かないですけど。今日は海野にやらせました」

――ベンチで海野隆司選手はずっと隣にいた。野球観としてはどうでしたか?
「あんまり、ね。代打を出す切り札は、今日は水谷にしているからなっていう話で。そのシチュエーション、どう使うのかは彼(海野)なんですけど。9回、8回の攻撃の時に水谷なら桑原(秀侍投手)のところで回ってきたらどうするか、とか。こっちがアドバイスをしない限りはなかなか、動けていなかったですけど。そんなにすぐにできるものではないですから。捕手をやっているから、ちゃんとやりますよ」

――昨年は内野手にキャプテンを置いていましたが、今年はどうですか?
「本多(雄一2軍内野守備走塁コーチ)とちょっと話をしてみようかなって。取り組み的にはあれは良かったので。松山さん(秀明内野守備走塁コーチ)がファームに来られた時からずっとやっていること。あれはいいと思うので、発案的には松山さんですけど、ホークスのファームとしてのフェニックス・リーグの、やること、項目に挙げていってもいいんじゃないかな。ちょっと本多コーチと話してみます」

「あと球団も含めて。球団はどっちかというと、球団主導で秋のところは回せるようにやっているところも、考えられているので。そういうところも1つ、いい経験かもしれないですね」

――3回無死一塁ではヒットエンドランを仕掛けていた。
「あれは3ボール1ストライクならエンドランと言っていました」

――“海野監督”が指示を出した。
「もちろんもちろん。僕は何もしていないので。バントのサインも彼ですし。ゴロではなかったですけど。でも3ボール1ストライクだったので、無理くりゴロを打て、とは言っていないですから」

――渡邉陸捕手が3安打。
「シーズン後半くらいからちょっとバッティングが良くなっている感じはありますよね。優勝が絡んだところから、若干、スタメンを外されながら。きたチャンスをしっかりモノにしている。ちょっとヒットが出始めましたよね。もちろん、目先のヒットはあれですけど、今しかできないことにはチャレンジするべきだと思うので。リチャードにしても、生海にしても」

「生海は今日フリーバッティングめちゃくちゃ良かったんですけど。試合では結果が出なかった。リチャードも新たな取り組みをしているので。目先で打てないからって『こんなんじゃ打てない』ってならないようにしてほしいなと思いますね」

――リチャード選手も「実戦の場でものにしたい」と言っていた。リーグ戦でもないこの時期だから、試せることがある。
「実戦だけでは無理ですね。実戦がうまく行こうが、行くまいが、2月までに仕上げてくる時間の方が大事。たまたま実戦があるので、試しはできますけど、練習でかなり形を作らないと厳しいと思いますよ。そんな、クセは直らないので」

――そういう部分を徹底的に。
「やった方がいいと思います。2年(2軍監督としてリチャードを)見て、この感じなので。やった方がいいかなって思いますね」

――桑原投手は打席では無安打でしたが、いかがでしょうか?
「球団の方からも、内野の適性も外野の適性も含めて、このクールは全部外野。足の速さを考えたら外野の方がね。内野で、じゃあ1軍って言ったら相当時間がかかる気がするので。そんな時間はないでしょうと言って。明日、明後日は上から来すぎるので、あまり使ってやれないですけど。だから、明日明後日は練習は外野でやらせた方がいいかなということで」

――3ボールからもスイングを仕掛けていた。
「あれは『打て』を出しましたからね。海野監督が。3軍ではヘッドスピード含めて、ホームランも結構打っているし。走り出したら足も速いので。走塁とかやることはいっぱいありますけど、まあ投手をやっていた子ですからね。半分ね」

――3軍管轄の選手をじっくりと見られる機会でもある。
「個々の課題、打撃コーチから出ている課題とかがあるので。それをしっかりとクリアしていく。その思いだけは強く持って、流れないでほしい、流さないでほしいですね。この期間は。体も出来上がった時期で実戦ができるのが最後の時期なので。より、ものになるように取り組んでほしいと思います」

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)