実に378日ぶりの二塁守備 なぜホークスベンチは「セカンド周東佑京」の禁を解いた? 

西武戦に出場したソフトバンク・周東佑京【写真:小池義弘】
西武戦に出場したソフトバンク・周東佑京【写真:小池義弘】

栗原陵矢と牧原大成が負傷により離脱し、ラインナップには穴が…

 0-6と完敗に終わった1日の西武戦(ベルーナドーム)。ホークスベンチは今季ここまで行ってこなかった“禁”を解いた。6回の守備から三森大貴内野手に代え、周東佑京内野手を今季初めてセカンドで起用した。公式戦では昨年8月19日の日本ハム戦(PayPayドーム)以来、実に378日ぶりのセカンド起用だった。

 先発の石川柊太投手が初回に3点を失うと、4回にも栗山に3ランを浴びて計6失点。ホークスベンチは5回、早々と甲斐拓也捕手の2打席目で谷川原健太捕手を代打に出すなど動きを見せた。6回の攻撃で三森が二ゴロに倒れると、その後の守備から三森に代えて周東がセカンドへ。今季初めて就く二塁の守備だった。

 6回先頭の蛭間の二ゴロをさばくなど、3度の守備機会を無難にこなした周東。これまで起用してこなかった「セカンド・周東」をなぜ、このタイミングで解禁したのか。森浩之ヘッドコーチはこう語る。

「残り28試合で色んなことがあるだろうし、佑京に関してはサードもやらせたし、セカンドも含めて色んなところが(守備位置として)出てくると思う。なんとか上を狙いながらやっていく中で色んなシミュレーションをして、今後あること、増田のファーストもあるだろうし、ディフェンス側も考えながらやっていかないといけない」

 もともとは二塁がメインの守備位置だった周東。2021年には先発、途中出場合わせて54試合が二塁での起用だった。俊足を生かした守備範囲の広さは定評があったものの、課題だったのがスローイング。手術を受けた右肩の不安もあってセカンドでの起用は減り、2022年は試合途中からの1試合のみ。開幕前に藤本監督が基本、サードでは起用しない方針を打ち出し、今季は外野での出場がほとんどだった。

 ただ、そうも言っていられないチーム状況になってきた。三塁のレギュラーだった栗原陵矢外野手が右有鈎骨の骨折で離脱。中堅の牧原大成内野手も右尺骨の亀裂骨折で戦列を離れた。主力の相次ぐ離脱もあって、周東にも幅広い役割が求められる事態となった。8月1日の西武戦ではサードでスタメン出場。そして1年以上のブランクを空けてセカンドも守った。

 栗原が全治2か月、牧原大は全治が未定と、残り1か月ほどのレギュラーシーズン中の復帰は絶望的だ。少しでも状態のいい選手を選んで起用したい、という首脳陣の思いが透けて見える。残り38試合。クライマックスシリーズ進出圏を死守するため、用兵に思考を巡らせていく。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)