「もっとダメなチームになる」という危機感…苦境の中で今宮健太が漏らした本音

ソフトバンク・今宮健太【写真:竹村岳】
ソフトバンク・今宮健太【写真:竹村岳】

今季3度目の猛打賞もチームの現状に「歯がゆい」「目の前の1試合を」

 自ら口を開き、心境を語った。苦しいからこそ、大切にしたい意識だ。ソフトバンクは30日のオリックス戦(PayPayドーム)に4-8で敗れた。打線が11安打を放つ中で、3安打と気を吐いたのが今宮健太内野手。今季3度目の猛打賞を記録し、終盤戦に来て上昇気流を描こうとしている。試合後にはチームの現状、自らの心境について、言葉を選びながら話した。

 まずは4回2死、打球が三塁ベースに直撃する内野安打を放つと、6回1死一塁では中前打を放ち、コートニー・ホーキンス外野手の犠飛を呼び込んだ。8回無死でも、阿部の変化球に食らいつくようにして右前に落とした。打率.254まで上昇し、その状態には藤本博史監督も「状態が上がってきていますね」とうなずく。

 再び勝率5割を切り、4位の楽天は西武戦(楽天モバイル)でサヨナラ勝利。1ゲーム差にまで迫られ、Bクラス転落が目の前にまで来ている。必死に打開策を探している中で、選手会長は今、何を抱えてグラウンドに立っているのか。

「優勝というところは厳しくなっている。そこはもう認めながらも、でも可能性がある限りは求めてやっていかないといけない。その気持ちだけは持って、やっています。なかなかチームの勝利に結びつかないのは歯がゆいところがありますけど、立たされた状況がこの状況なので。目の前の1試合をやっていくしかないと思います」

 オリックスの優勝マジックは「20」となり、14.5ゲーム差を開けられている。2位のロッテとも4ゲーム差と、現状を淡々と受け入れるしかなかった。当然、諦めるつもりなどあるはずがない。「たくさんのファンの皆さんが見に来てくれる中で、チンタラじゃないですけど、そういう姿で野球をするのは絶対にあってはならない」。積み上げてきたプロ意識が、今宮を突き動かしている。

 自身でも人見知りだと自称し、言葉で引っ張っていくタイプではないという。「人には喋らないですけど」と苦笑いするが、主力同士でチームについての話をすることもあるという。「晃(中村)さん、柳田(悠岐)さんもそうですけど、先輩たちに見せられて僕らはやってきた。全力疾走とか、そういう姿ができなくなると、チームとしてOKになると、もっともっとダメなチームになる。常に自分が見られている意識でやっています」という心境だ。

「口にして言わなきゃわからない選手もいるだろうし。それが勝利に結びつくかは、なんとも言えないですけど……。いち野球選手として、人間としてっていうところはやっておかないと。(周囲から見て)“諦めてんな”っていう雰囲気は出したくないですし、そういうところも見せたくもないので。可能性が残っている限りは、何回も言いますけど、目の前の試合にぶつかっていくのみかなと思います」

 終盤に来て、入れ替えも活発となっている。29日に1軍昇格した野村勇内野手は5打数無安打。新人の生海外野手は7回2死一、二塁で代打で登場し空振り三振に終わった。今宮も「若い選手は持っているものを出すのみだと思う。僕も若い時はチームのことを考えることなく、ただ目の前に集中していた。それが結果になればと思っていた。若い選手にはそういう気持ちで突き進んでほしい」と、自身が通ってきた道を重ねる。

 隙を見せないようなシーンがあった。8回には1軍昇格したばかりの尾形崇斗投手がマウンドへ。四死球で1死一、二塁となると、すぐに今宮が声をかけに行った。「キャッチャーの(マウンドに行ける)回数が決まっていて、行けない状況だったので。『どうしたんや』って。変化球が多いなとは思いましたけどね」。応えるようにして尾形は連続三振でピンチを脱した。グラウンドに立つ以上、選手が可能性を諦めるわけにはいかない。

「順位のところもありますけど。目の前の試合をやっていくしかない」と言い聞かせるように話した。厳しい状況であることは、選手もわかっている。だからこそ、プロ野球選手としての全てが今、グラウンドで試されている。

(竹村岳 / Gaku Takemura)