【連載・周東佑京】柳田悠岐への相談は「辞めたい時」 悩みを打ち明けた時の返答は…

ソフトバンク・周東佑京(左)と柳田悠岐【写真:竹村岳】
ソフトバンク・周東佑京(左)と柳田悠岐【写真:竹村岳】

WBCでは柳田と同じ背番号9番を選択…本人へのお願いは「9、いいすか?」

 鷹フルがお届けする主力4選手による月イチ連載、周東佑京選手の「8月後編」です。今回のテーマは「ギータさん」です。グラウンドの内外で親交の深い柳田悠岐外野手。その人柄について、周東選手の目線で語ってもらいました。相談するのは「辞めたくなった時」? キャプテンからの返答は? 2人の仲の良さに迫りました。9月編は11日(月)に掲載予定です。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 サヨナラ打の裏側に「キャプテンの一言」があった。7月30日のロッテ戦(PayPayドーム)。延長11回の2死満塁から周東が左前に運び、試合を決めた。その直前にあったのが、柳田からの耳打ち。周東で試合が終わるか、次の回にもつれこむか、どちらかしかない状況だったが、柳田は一言だけ声をかけた。周東も「あれで楽になりました」と感謝する。

 柳田悠岐と、周東佑京。2人の間柄、仲の良さはファンの方々にも十分伝わっているのではないだろうか。「あのままですよ。優しいです。優しいの一言に尽きます。心が広いし、人として大きいなって思います。後輩の面倒見もすごくいいですし、悩んでいる時とかも話しやすいです」とその人柄を表現する。どちらも人見知りしない性格で、自然と距離は近づいていった。

 柳田は2015年にトリプルスリーを達成するなど、2017年育成2位で周東がプロ入りした時にはもうホークスの顔だった。背番号が3桁だった2018年は、なかなか接する機会もなかったという。「多分、キャンプ、2年目にA組に入った時に初めて話したんかな」と2019年の春季キャンプから関係は深まっていった。

 3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。背番号は「年功序列で(決まっていった)した」という。27歳の周東が選んだのは、ホークスで着用する23番ではなく、柳田と同じ9番。柳田には相談もしたそうで「23番はいつもつけているし。『何番がいいすかね』『9、いいすか?』って言ったら『ええよええよ、つけ』って言われました」と快諾してもらった。

 昨年11月に行われた侍ジャパンの強化試合では4番を着用していた。その時も「1桁をつけることが今後ないだろうなって思って4番にしました」と新鮮味を求めて23番とは違った番号を選択したことを明かしていた。「空いている1桁が、9番がたまたま空いていたので」と“年功序列”も含め本大会で9番となった経緯を語る。「いや、全然。意外と似合っているなって思いました」と胸を張るユニホームは、今も自宅にあるそうだ。

 たびたび、柳田に悩みを打ち明ける時があるという。「バッティングとかでまじで気持ちが落ちている時とか。『本当に辞めたいな』とか思う時、たまにあるので。そういう時にパッと話したら楽になるというか」と、ネガティブな思いを吐き出したい時にキャプテンに聞いてもらう。天真爛漫で、細かいことは気にしなさそうな柳田だが「普通に話してくれますよ。勢いだけじゃなくて。ちゃんとピンポイントでも言ってくれるので」と耳を傾けてくれるそうだ。

 グラウンド外でも交流はある。最近だと、食事をともにしたのは北海道。4日から6日までの日本ハム戦で、3戦目の後、柳田に連れ出してもらった。会話の内容は、野球から離れて「めちゃくちゃ野球のことを話すかと言ったら、そんな話さないです。普通に。プライベートのこととか。競馬のこととかが多いです。野球のことというよりも。子どものことも話しますけど、馬のことが一番多いかもしれないです」と共通の趣味で盛り上がっている。

 春季キャンプ以降から伸ばし続けている長髪も、今季の柳田のトレードマーク。実は周東も、後頭部で結べるくらいまで髪は伸びており、実際に後ろで結んで、PayPayドームを後にする時もある。柳田からのインスパイアは「全然」と否定したが、長髪も1つの共通点だ。「ドームに来る時は寝癖がすごいし、帰る時は髪の毛が邪魔だからって感じで。グラウンドに出たら帽子を被っているから、邪魔じゃないので」と理由を語る。いつかシャッターに収めて、周東の“お団子姿”もファンの方々にお届けしたい。

「あそこまでは伸ばしたくないですよ。あそこまで伸ばすと自分はダサいと思うので、伸ばしません。自分のロン毛は似合わないので、ちょうどいいくらいに収めています」と謙遜したが、節々から表れている柳田へのリスペクト。結果や言動、存在感という意味でも、いつかは憧れの先輩を超えていきたい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)