2軍で左翼だけを守らせた理由…小久保2軍監督も驚いた生海のプロ初の右翼守備

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:竹村岳】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:竹村岳】

1軍戦で「7番・右翼」でスタメン…ZOZOマリンの難しさに小久保監督は

 2軍の首脳陣に、守備力はどう映っていたのか。ソフトバンク2軍は22日、ウエスタン・リーグのオリックス戦(タマスタ筑後)に臨み、5-2で勝利した。8回には藤井皓哉投手が登板。2四球を与えるも、3三振を奪って連投テストを終えるなど、投打が噛み合っての勝利となった。試合後に取材に応じた小久保裕紀2軍監督は、1軍戦でプロ初の右翼守備となった生海外野手について言及した。

 この日、ドラフト3位で東北福祉大から入団した生海外野手が出場選手登録された。ウエスタン・リーグでは43試合に出場して打率.243、5本塁打、29打点。9連敗中のチームに新しい風を吹き込んでもらうために1軍に呼んだ。打力は評価されてきたものの、小久保監督が厳しい目を向けてきたのは守備面。「守備は危ないですよ」と表現したこともあった。

 1軍のロッテ戦(ZOZOマリン)で「7番・右翼」で先発した生海。2軍も含めて“プロ初”の右翼守備だ。初回の無死、藤岡の打球はいきなり生海のもとへ。チャージをかけたが、ワンバウンドして右前打となる。その後、先制点にもつながってしまった。3回2死一塁では石川が放った飛球を見失う。ファウルにはなったものの、漆黒の夜空に風もあるZOZOマリンのナイター。戸惑っているようには見えた。

 2軍戦の前に生海のライトでのスタメンを伝え聞いた小久保監督は「デビューが千葉マリンの、守ったことのないライトで。打つ、打たんより前にエラーしないか心配でした」と心境を話す。1軍の起用なのだから、1軍の首脳陣が決めることだが、意見を交わした際に「『守備はダメですよ』って言ってありますので」と伝えたことを明かした。

 プロ通算2057試合に出場した小久保監督。ZOZOマリンの飛球を追う難しさを問われると「それは慣れるまでは。慣れたらどうってことないんですけど。大体は同じ風なので。どこに当たったものが、どう落ちてくるのかわかったらいいけど。それまではなかなかね」と語る。「今日がどれくらいの風速か知らないですけど」と続けたが、経験して風を“理解”することが守備においても必要な球場だ。

 2軍で左翼だけを守らせてきたことは「まず1箇所で上手になる方がいいやろって話を井出(2軍外野守備走塁)コーチとして。1つのポジションで同じ角度で、打球感を磨いた方が」と経緯を語る。「それをクリアした選手がいろんなポジションを守らせる。それまでのレベルに達していなかった」。中堅と右翼を“守らせるレベル”には、まだなかったと語る。だからライトでのスタメンを聞いた時も、驚きを隠せなかった。

 生海は春季キャンプ中には右肩を痛めて帰福するなど、出遅れた面もあった。3軍から2軍に昇格してきた時と比較して、小久保監督が当時を振り返る。

「でも3軍から上がってきた時よりは数段良くなっていますよ。ただそれが、そんなとこで満足していたらね。1軍にいけば最低限の守備がなかったらレギュラーは取れない。最低限のためには、言い続けないといけないですよね。だからあえて言っていましたけど。これでいいんだって思われたら、あそこで終わったら、レギュラーは難しい。でも来た時よりは確実に良くなっています」

「守備はやればやるほどうまくなるので。これは間違いない。僕もあれだけ下手だったのに、投手の足を引っ張らん程度の守備にはなったので。バッティングはそうはいかん。守備も、ちゃんと意識を持ったまま。守備によって、バッティングが足を引っ張られたらいかんけどね。“打ってナンボ”やというのは持っておかないと。守備にも興味を持って、やることはやり続けていかないといけないかな」

 二塁手で1度、一塁手で2度のゴールデングラブ賞の経験がある小久保監督。“打ってナンボ”という言葉で、自分の武器はハッキリと認識しておいてほしいと、生海の背中を押した。初安打を打ったことを伝え聞いても「そんな簡単に1軍の投手は打てない。連敗しているチームに呼ばれて、失うものはないじゃないですか。“当たって砕けろ”ですよ」と、どこまでも期待を込めていた。

 1軍は2-5で敗戦し、泥沼の10連敗。生海は昇格する前にも「思いっきり、全力でやるだけかなと思います」と意気込んでいた。全力で白球を追うことで、少しでもチームの力になりたい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)