悩ましい“1、2番問題”…解決策はあるか? 藤本監督が語る野手陣の“反省”と課題

ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】

打率.115のデスパイネはどう使う?「6番あたりに入ってくれたら」

 ソフトバンクは前半戦の82試合を43勝37敗2分けで終えた。前半戦最後は27年ぶりの9連敗を喫し、首位のオリックスとは5.5ゲーム差の3位。藤本博史監督は前半戦総括の会見で「まだまだ優勝できる圏内にいるので、後半、しっかりと全員で戦っていきたいと思います」と前向きに語っていた。

 連敗が始まる直前、貯金は今季最大の15を数えた。パ・リーグの首位にも立っていたが、9連敗で3位まで転げ落ちることになった。ただ、後半戦の戦い次第で、まだ十二分にひっくり返すことのできる位置にいる。

 前半戦最終戦となった17日のオリックス戦前に、藤本監督は前半戦の総括を行った。そこで語られた前半戦の課題と反省とは? そして後半戦に向けた戦いの展望とは? 今回はその「打者編」だ。

 前半戦の打者のMVPに挙げたのは、今季FAで加入した近藤健介外野手だ。82試合で打率.289、早くも自己最多となる12本塁打を放ち、49打点をマーク。打率と本塁打はリーグ4位、打点はリーグ2位と勝負強さを発揮しており、指揮官は「出塁率も4割を超えているし、得点圏打率も4割を超えている。打線全体で見て、得点圏打率がずば抜けているのは近藤。そういうところは目立ったのかなと思います」と、その働きを称えた。

 ここまでリーグ2位となる298得点を挙げているものの、前半戦の最後は得点力不足に苦しめられた。9連敗中は8試合連続で2得点以下。1試合平均1.6得点とふるわず。投手陣を援護できずに連敗を止められなかった。前半戦の反省点として藤本監督は「3番、4番はしっかり固定できた。1番、2番を固定できなかったところが反省点かなと思います」と語っていた。

 開幕直後は牧原大成内野手や周東佑京内野手が入っていた1番には、5月半ば以降はベテランの中村晃外野手が定着。中村晃はしぶとい打撃に加えて、.359というまずまずの出塁率をマークした。ただ、藤本監督にとって「1番・中村晃」は理想ではなく「5番か6番に置きたい」と語る。

 現代野球で“重要視”される2番には今宮健太内野手が最多の19試合、続いて牧原大が18試合で起用されたものの、なかなか固まらず、投手の左右によって“日替わり”で置かれる選手が替わっていた。藤本監督は、構想として、この1、2番に走力のある周東や三森大貴内野手が「ハマってくれたらベスト」と描いている。

 ただ、現状、周東の出塁率は.290、三森は周東よりも低い出塁率.258となっており、この数字で1番、2番を任せるには心許ない。牧原大も打率.284に対して出塁率は.302にとどまる。1番、2番の出塁率が低下すれば、近藤や柳田の前に走者を置けず、当然、得点力も落ちることに繋がるだけに、後半戦に向けた重要なポイントになりそうだ。

 藤本監督は「3番、4番は今年1年変えないでしょう」と語っているものの、この並びを再考するのも一手かもしれない。エンゼルスで大谷翔平投手が打っているように「2番」「3番」を重視するのがMLBをはじめとする現代野球の主流。優れた打者により多く打席が回るようにして得点力を高めるというのが時代の流れだ。この考えでいけば、近藤を「2番」、柳田を「3番」に置くのが理に適う。

 今季途中に復帰したアルフレド・デスパイネ外野手の起用にも頭を悩ませそうだ。ここまで10試合に出場して打率.115。スタメンで起用された試合は4試合連続で音無しが続く。打点はまだゼロ。デスパイネを起用するのであれば指名打者しかなく、その際は柳田が右翼に回る。主砲の疲労などにも考慮しなければならなくなる。

 指揮官は「どうしても左打者にいい選手が多い。打線のバランスを考えたら、右の大砲っていうのが6番あたりに入ってくれたらいいバランスで戦えるんじゃないか、というところでデスパイネを獲得してもらった。まだ機能していませんけど、後半は機能できるように調整していきたい」と語るが、このままの状態であれば、柳町達外野手やウエスタン・リーグで本塁打トップのリチャード内野手らの起用が選択肢に上がってもおかしくない。

「後半戦はロッテとオリックスと当たる。8月半ばまでは優勝争いに加わって、そこから勝負かなと思います」と後半戦を展望する藤本監督。3年ぶりのリーグ優勝へ、打線にも改善の余地はありそうだ。

(鷹フル編集部)