藤本監督が語る投手陣の“反省”と課題 求められるローテ再整備、藤井皓哉は8回へ

ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】

後半戦のローテの軸に据えるのは有原、大関、東浜に

 ソフトバンクは前半戦82試合を43勝37敗2分けの3位で終えた。27年ぶりの9連敗を喫してオールスター休みを迎えた。首位のオリックスとは5.5ゲーム差。藤本博史監督は前半戦総括の会見で「まだまだ優勝できる圏内にいるので、後半、しっかりと全員で戦っていきたいと思います」と前向きに語っていた。

 確かに9連敗を喫するまでは悲観する内容ではなかった。連敗が始まる直前には、今季最大の貯金15を数え、パ・リーグのトップに立っていた。9連敗で3位まで転げ落ちることにはなったものの、後半戦の戦い次第で、まだ十二分にひっくり返すことのできる位置にいる。

 前半戦最終戦となった17日のオリックス戦前に、藤本監督は前半戦の総括を行った。そこで語られた前半戦の課題と反省とは? そして後半戦に向けた戦いの展望とは? 今回はその「投手編」をお届けする。

 指揮官が「一番安定している」として、投手陣のMVPに挙げたのは有原航平投手。開幕を2軍で迎え、しばらくファーム暮らしを強いられたものの、6月6日のDeNA戦で初先発すると、そこから4試合連続で6回以上を投げて1失点の好投。同23日のオリックス戦、同30日の西武戦では8回を投げ抜いた。9連敗が始まった7月7日の楽天戦では序盤に大量点を奪われて7回6失点と苦しんだが、同15日のオリックス戦では7回2失点と役割を果たした。

 一方で開幕前に大黒柱として期待を寄せていた石川柊太投手が13試合で3勝4敗、防御率4.22、東浜巨投手は5勝6敗、防御率3.77と黒星が先行。開幕投手を任された大関友久投手が体調不良で一時離脱するアクシデントもあった。「本当は東浜と石川というところがローテーションを引っ張ってもらいたいところだったけど、勝ちと負けが同じっていう形になっている。先発投手を整備できていないところが前半のマイナス点かな」と課題を残した。

 先発陣が整備できず、リリーフ陣に負担をかける形となった。先発投手の役割の目安とされる6回、自責点3以内のクオリティスタート(QS)はパ・リーグで最も少ない34度。先発投手の防御率3.48はリーグで5番目となっている。当然、その分、リリーフ陣にはしわ寄せがいっており、指揮官は「リリーフ陣が登板過多になったかな、迷惑をかけたかなっていうところはありますね。先発陣の分、リリーフ陣が前半戦はよく頑張ってくれた」と言う。

 22日のロッテ戦から始まる後半戦、先発ローテの軸として期待するのは有原、大関、東浜の3人だ。「あとの3つの枠っていうのは状態の良い投手を入れていく形で考えています。板東(湧梧)いますし、カーター(・スチュワート・ジュニア)も、石川(柊太)も入っていますし、高橋礼も考えている。和田は4番目に入っていますけど、間隔を空けないといけないから」。42歳のベテラン和田は登板間隔を空ける必要がある。その都度、ローテを組み替えながら、先発陣を運用していくことになる。

 不安が残るのがリリーフ陣だ。セットアッパーのリバン・モイネロ投手が左肘の手術を受けるために長期離脱。リーグ最多の38試合に登板している津森宥紀投手を筆頭に登板がかさんでいる。そんな中で指揮官は、今季は先発として9試合に登板していた藤井皓哉投手の中継ぎへの再配置転換を決断。藤井本人と話し合い、承諾を得たとし「モイネロが離脱しているので、そこは整備しないといけないところ」と語る。

 左脇腹の怪我で離脱している藤井はすでにファームで実戦に復帰している。先発としての復帰となれば、実戦に復帰してからイニング数と球数を徐々に増やしていく必要があり、実戦復帰から1軍復帰までは1か月程度は必要だが、中継ぎであれば、球数を増やしていく過程は必要ない。藤本監督も「復帰が早くなりますよね、そうなると。早く藤井には戻ってきてもらいたい」と語っており、1軍復帰が早まるメリットもあるという。

 先発投手陣の整備と安定、リリーフ陣の負担軽減、そしてモイネロ不在となった“勝利の方程式”の再整備と、後半戦にやるべき課題は多い。本来、ホークスの最大の強みであった投手力。そこの安定なくして、3年ぶりのリーグ優勝は掴めないだろう。

(鷹フル編集部)