首脳陣が考えるスチュワートの起用プラン… 踏むべきステップと判明した今後のローテ

ソフトバンクのカーター・スチュワート・ジュニア【写真:竹村岳】
ソフトバンクのカーター・スチュワート・ジュニア【写真:竹村岳】

7月2日の西武戦は石川柊太、7月4日からの日本ハム3連戦では板東湧梧が先発予定

 開花しようとしている剛腕をどう生かすのか。首脳陣の構想と先発ローテーションの一部が明かされた。ソフトバンクは28日の楽天戦(PayPayドーム)に3-2で勝利した。先発したカーター・スチュワート・ジュニア投手は6回1失点と好投し「調子は良かったし、いい投球ができたと思う」と球団を通じてコメントした。好投した右腕の今後について、藤本博史監督は「中6日で回らないと思う。一応、7人で回していく」と言う。

 スチュワートは今季2度目の先発。結果から見れば、6回1安打1失点だったが、内容には課題もあった。3回無死、山崎の投ゴロを処理したが一塁に悪送球。犠打とスクイズを決められて、この回わずか6球、ノーヒットで先制点を献上した。4回と6回には二盗を許してしまうなど、スチュワートも「ランナーが出てからの投球も課題があるし、もっともっと成長していきたい」と語る。

 この試合は失点こそしたものの、自責点は0。被安打1と、課題は多くとも投げるボールは一級品だ。シーズン中盤を戦っている今、注目が集まるのはスチュワートを今後どう生かしていくか。斎藤学投手コーチは「マウンドに立ってくれると、そんな簡単に打たれる球ではない」と言い「また投げます」とチャンスを与えることも明言した。

 同コーチは「課題はいっぱいあります。それはちょっとずつ修正して投げさせていきたい」と表情を引き締める。その上で「フォームだったり、自分が今投げているバランスを崩してまで、覚えたところでっていうのはある。今日も少し早いモーションで投げたりっていう工夫はしていたので。自覚があるなら、直るんじゃないかなと思います」。体のリカバリーはもちろん、投球以外の課題と向き合ってもらうためにも、今のスチュワートには時間を与えるべきだという判断だ。

 斉藤和巳投手コーチは、短所はもちろんだが、長所を見つめるべきだと強調する。「コメントの仕方も難しいし、担当コーチとしてこういう発言がいいのかわからないけど」とした上で「抑えればいいかな、と。一番は、投手の仕事は打者を抑えること。そこをおろそかにしてしまうことが一番いけないことなので」と背中を押す。

「日本の野球と、彼がアメリカでやってきた野球に違いもあるやろうし。ただ5年目というところで今でもそういう部分に課題を持っている。投げている球は状態がいいわけですし、彼の長所をそういうところで隠す必要もないので。今は長所を見てあげる方が個人的にはいいのかなと。細かいところで勝負するタイプじゃないし、ゾーンの中でどれだけ勝負できるか。自分のリズムを崩さずに投げ続けることができれば、今の彼の状態なら、試合は十分に作れる」

 チームの状況を考えても、今のスチュワートならローテーションに入っていて欲しい。1軍の戦力として認め、チームを助けてほしいからこそ、課題を修正しながらローテーションに加わってもらう。それだけの力が、今のスチュワートにはある。

 7月は3度、月曜日に試合がある変則的な日程。斎藤学コーチは「日程の関係もあって。いずれにせよ、誰かがどこかを埋めないといけなかったところを、ファームから呼ぶかという話の中で。『こういうふうに組み合わせれば、空きが出ないで回ります』ということで監督にはお願いしている」と今後について言及した。

 指揮官が「中6日で回らない」と言ったように、スチュワートも日程を空けることになる見込みだ。斎藤学コーチは石川柊太投手を7月2日の西武戦(ベルーナドーム)、板東湧梧投手を4日からの日本ハム戦(PayPayドーム)で先発させるとも明かす。スチュワートも含めて「変な言い方ですけど、3人を回すということ」と説明。新しい風をしっかりと生かしながら、苦しい夏場を先発陣が一丸となって乗り越えていく。

(竹村岳 / Gaku Takemura)