今宮健太が重要性を痛感する“言葉の力”…松田宣浩だからこそできたリーダーシップとは

ソフトバンク・今宮健太【写真:矢口亨】
ソフトバンク・今宮健太【写真:矢口亨】

交流戦は11勝7敗…今宮健太が感じるそれぞれのリーダーシップとは

 ホークスは交流戦を11勝7敗で終えた。セ・リーグとの対戦の中で今宮健太内野手は15日のヤクルト戦(神宮)で決勝打を放つなど、チームを牽引した。「チームに結構迷惑をかけてるんで、しっかりとそこは反省して」と言う。チームとしても苦しい時期を何度も乗り越えながら、シーズン中盤を戦っているところだ。

 これでチームは34勝25敗2分け。長いシーズンといえど、時には5連敗を喫するなどなかなか波に乗れずにいる。今宮自身は53試合に出場して打率.274、3本塁打、17打点。キャプテンの柳田悠岐外野手が支柱であることは間違いないが、選手会長の今宮にはチームの状況はどのように見えているのか。

「悪くはないと思いますけど、なかなか乗り切れないゲームが続いたり。いい時はいいですし、悪い時はダメってはっきりしているところがあるので。その差がなくなっていけば、もっといい感じでやっていけると思っているので。そこは意識してやっているつもりではあるんですけど、まだ力のなさを感じているところでもありますし、引っ張っていけたら思っています」

「キャプテン(柳田さん)は背中で引っ張っていくので。ああだこうだ言って引っ張っていくタイプではないですし、誰かが言葉にしてやっていかないといけない。(中村)晃さんもそうですし、なかなかそういう選手がいないので。難しいところではあるんですけど、この先いろんなところがあると思うので、そういうところは大事になってくる。改めて松田さんの偉大さを感じているシーズンではありますね」

 名前が出たのは昨季限りでホークスを退団して、巨人に移籍した松田宣浩内野手だ。昨年9月7日、松田は球団から2023年の戦力構想から外れていることを告げられると、柳田と中村晃、今宮の3人にだけ「あとは頼んだ」と次代のホークスを託した。チームリーダーで、ホークスの象徴だった“熱男”が去り、初めてのシーズン。かけがえのない存在だったと改めて感じさせられている。

 松田が後輩からも尊敬されたのは、自分の調子がいい時だけではなく、打てない時でさえも変わることなく明るく振る舞っていたから。今宮も「ベンチでの鼓舞の仕方だと思います」と松田の偉大さを具体的に話す。豪快な柳田に、寡黙な中村晃。今宮を含めてそれぞれのリーダーシップがあるものの、松田のように言葉と明るさで引っ張る選手はいないと今宮はいう。松田は稀有な存在で、偉大な先輩だったと、シーズンを戦う中で気付かされている。

「(言葉で引っ張ることは)めちゃくちゃ難しいです。簡単には絶対にできないです。改めて偉大さを感じます。いなくなって、すごいなって思うことが結構あるので。そう言っているだけではダメなので、なんとかしていかないといけないなと感じるところではあります」

 今宮は以前、リスペクトを込めながら「松田さんのようにはなれない」と話していたこともあった。今はもう自分なりのやり方でホークスを引っ張っていくしかない。23日のオリックス戦(PayPayドーム)から再開するリーグ戦。結果でも姿勢でも、チームの中心として突き動かしていく。

(竹村岳 / Gaku Takemura)