支配下登録へ求める「圧倒的な結果」 “128番目の男”仲田慶介が描く逆転昇格の道

ソフトバンク・仲田慶介【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・仲田慶介【写真:藤浦一都】

3月末に左足を手術…3日の3軍戦で実戦復帰し犠打を成功「体が動かなかった」

 期限が迫っているからこそ、思い描く道のりはハッキリとしている。3日にタマスタ筑後で行われた四国IL愛媛との3軍戦で、実戦復帰を果たしたソフトバンクの仲田慶介外野手。9回に代打で登場すると、きっちり犠打を決めた。久々の緊張感を味わい「予定よりもだいぶ早く復帰できたので、すごくよかったです」と安心した表情だった。

 9回無死一塁の場面で代打で登場し、初球だった。セーフティバント気味に三塁線に転がし、チャンスを広げてみせた。怪我をする前だったら「セーフだったかな……」と自信を見せるほど、三塁手に処理させる絶妙な犠打。「ここから運動量が上がると思うので、もっとキレを出すトレーニングをしようと思いました」と復帰戦を振り返っていた。

 3月末に久留米市内の病院で「左第5中足骨接合術」を受けて戦線を離脱。昨季は2軍ウエスタン・リーグで36試合に出場して打率.268と一定の結果を残し、今季こそ支配下登録を目指すという中での怪我だった。7月31日に迫る支配下登録の期限。「1日でも早く復帰して、そこのチャンスは絶対に諦めずに。とにかく1日も早く復帰しようという気持ちでした」とリハビリ時の心境を振り返る。

 7月いっぱいまで、残された時間はもう長くない。だからこそ、仲田も頭の中でハッキリと道筋を描いている。

「今年支配下になって、1軍で活躍するというというところを目標にしていた。そこの思いが強かったので。復帰して、あと1か月半くらいしかないですけど、圧倒的な結果を出せるようにと思って、リハビリの期間を過ごしていました。1日も早く2軍の試合に出て、周りがびっくりするくらいの結果を出すしかないと思っているので。そこが勝負だと思ってやっています」

 圧倒的という言葉を使って意気込んだ。目標とする数字も「3割5分とか、4割近く打たないと、そういうチャンスはないと思う。あとは守備とか走塁とかバントも確実にして。本当に打つしかないと思っている。ちょっと打つくらいだと絶対に上がれないと思っているので。そこはもう勝負だと思って」と具体的に設定している。現在の支配下選手は67人で、残りは3枠。ここを勝ち取るには、目に見えるほど抜きん出るしかない。

 前のめりな姿勢はプレーにも表れている。復帰戦で三塁線に決めた犠打も「送りバントのサインだったんですけど、1球目はセーフティ気味にやってみようと思って」と、とにかく結果を求めていた。足の怪我での離脱だったこともあり「思ったよりも体が動かなかった。もっとキレを出す動きをしないといけないとめちゃくちゃ思いました」と、1つのプレーからも自分に必要なものを学び、生かそうとしている。

 2軍では勝連大稀内野手や伊藤大将内野手、西尾歩真内野手らが二遊間を守っている。外野手登録ながら、二遊間を守る仲田にとっても「すごく気になっていましたし、そこの焦りもありました」と感情を隠さない。翌4日の試合には「9番・指名打者」で出場して3打数1安打2打点と、さっそく結果で応えてみせた。足の状態も「全く気になるところはない」という。ここから仲田の逆転劇が始まる。

 2021年の育成ドラフト14巡目指名でホークスに入団した。全体指名128人中、128番目でのプロ入り。「支配下が目標というよりも、1軍で活躍することを目標にしてやらないといけないと思う。それくらいの数字を目標にしていきたいです」。どこまでも真っ直ぐに目標を見つめる瞳に、迷いは一切ない。

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)