6月6日についに初実戦! 京大卒の育成ドラ7・水口創太がリハビリ組で得た収穫

ソフトバンク・水口創太【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・水口創太【写真:上杉あずさ】

プロ入り後に理学療法士の資格を取得した水口が自分を知った「可動域測定」

 ベールを脱ぐ時が迫ってきた。育成ドラフト7巡目ルーキーの水口創太投手が6月6日に予定されている4軍の四国IL愛媛戦(タマスタ筑後)で実戦デビューすることが判明。京大医学部から史上初のプロ野球選手としてソフトバンクに入団し、プロ入り後に理学療法士の国家資格も取得した“インテリ右腕”が、いよいよ実戦のマウンドに立つ。

 プロ生活はリハビリ組でのスタートとなった。肩関節付近で骨同士や軟骨、靱帯の衝突やこすれが起きることで痛みを感じる「右肩のインピンジメント」の影響で出遅れることになったが、一歩ずつ段階を踏んできた。

 リハビリ組での日々も「自分を見つめ直す機会にできた」とプラスの要素もあった。中でも「可動域測定」は大きな収穫だった。リハビリ組ではまず細かく全身の関節の可動域を測定する。例えば「右肩のコンディションが悪い原因は左の股関節にあった」ということがあるように、負傷箇所ではない箇所が原因となる場合もあり、一度全身の可動域をチェックするのだ。

 水口の場合は「股関節は柔らかいけど、肩の内旋が固かった」。可動域は、広ければいいというものではなく、内旋と外旋のバランスや選手それぞれのプレースタイルに応じて、その目標値は異なる。基準となる可動域がある中で、そこに満たない場合は、トレーナーの指導のもとで、トレーニングなどで可動域を広げていくことになる。水口も狭かった箇所の可動域を広げるストレッチやトレーニングを学んで取り組み、成果を実感している。

 勝永将史リハビリ・ストレングス&コンディショニング担当は「解剖学の知識があるので、技術指導されたものを解剖学のフィルターを通して見ることができるのは大きいと思います」と水口について語る。他の選手に対しては言葉を噛み砕きながら「ここの筋肉をこう使うんだよ」と説明するが、水口は専門用語を“共通言語”として使えるため、伝わりやすい。その知識も水口の大きな持ち味だろう。

 ウエートトレーニングも「好きです」と精力的に取り組んでいる。体重は大学時代よりもさらに増えて103.5キロになった。体重は増えても、ランニング量なども増えており「動きにくさは感じていません。大学の時より動きもいいです」と、さらにパワーアップを果たしているようだ。

 5月30日には初のシート打撃を登板を迎えた。「とにかく強い球を投げること」をテーマに掲げて腕を振り「より試合に近い形だったので、気持ちを入れて投げることができました。今の段階では、思っている以上に身体が動いています。痛みとかも気にすることなく、コンディションが万全という感じです」と明るい表情を見せた。佐久本昌広リハビリ担当コーチ(投手)も「前回(打撃投手の時)より球も来ていた」と頷いた。

「思い通りに投げられたので試合が楽しみ」と、ようやくたどり着いた初の実戦を見据える。打撃投手、シート打撃と段階を踏んで確かな手応えを感じているからこそ、その日が待ち遠しい。「短いイニングで強い球を投げて、バッターを押していくようなピッチングをしたい」。4軍とはいえ、どんなピッチングを見せてくれるのか。京大卒の大型右腕の“デビュー戦”に注目だ。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)