周囲の制限も「振り切ってやったことも」 牧原大成がリハビリ組で抱えていた“葛藤”

ソフトバンク・牧原大成【写真:竹村岳】
ソフトバンク・牧原大成【写真:竹村岳】

全力プレーへの誇りとこだわり「怪我をしたからといって、なくなったら自分じゃない」

 頼れる男が帰ってきた。ソフトバンクの牧原大成内野手が26日、PayPayドームで行われた1軍のピックアップ練習に合流した。左太ももの肉離れを負ってからちょうど1か月。心境を問われて「普通です! 頑張りたいという気持ちです」とキッパリ。怪我をして“怖さ”を知ったとしても、スタイルである全力プレーを変えるつもりは一切ない。

 4月27日の楽天戦(PayPayドーム)で左足を負傷した。「左大腿二頭筋損傷」との診断結果を受けて、翌28日に出場選手登録を抹消された。リハビリ組での調整、2軍戦出場を経て、ようやく1軍の舞台に戻る。藤本博史監督とも「大丈夫やろっていう話をしました」と言葉を交わし、心身ともに準備は整った。この日はフリー打撃をはじめ、中堅や二塁から打球を追って体を動かした。

 牧原大が左足を痛めたのも、全力疾走が“引き金”だった。4月27日の楽天戦で、敵失で出塁した際に左足を痛めた。172センチと小柄ではあるものの、走塁でも守備でも強い気持ちを胸に全力で戦うことが牧原大の信条。一方で「違和感のない状態で怪我をした」と、突発的な出来事でもあった。ハッスルプレーは“諸刃の剣”とも言える。

「怪我をしたからといって、手を抜いたりはしませんし、全力プレーがなくなったら自分じゃないと思うので。あまり考えないで、思いっきりやるだけと思っています。怖さはありますけど、それを言っていたらいつまで経っても試合には出られない」

 キッパリと言い切る姿は頼もしいほど。足の状態も「悪かったら(ここに)いないです」と問題なしを強調する。川瀬晃内野手、柳町達外野手らが台頭していた1軍の戦いを「ウズウズするので見ていません」と言い、悔しさを表に出す姿も牧原大らしい。「1軍に来たからにはチームに勢いをつけられるようなプレーができたら」と1軍の新しい風になるつもりだ。

 当初から復帰まで1か月という予定だったが、ここに至るまでには牧原大なりの前のめりな姿勢があった。リハビリ管轄の選手はトレーナーらの管理のもとで練習を行う。時に制限をかけることもトレーナー陣の仕事だ。牧原大は「自分がいけると思っていても、トレーナーの中で『これ以上は無理せんとこう』とか、そこは葛藤する部分もありました」と振り返りつつ、復帰への執念を口にした。

「そういった制限の中でも、トレーナーさんが言うことを振り切ってやっていたこともあるので。そうでもしないと早く復帰できないし、戻って来られないので。そこはよかったかなと思います」

 どこまで制限を振り切っていたのかはわからないが、力強い口調で言った。制限をかけられることに「それ(ストレス)はもちろんありました」と認める。故障の可能性がいつだって付きまとうことは、牧原大自身が一番よく理解している。野球ができる喜びも、1軍で戦えないもどかしさも知っているから、牧原大はどんな時も手を抜かない。それこそ自分が思い描くプロ野球選手だから。

(竹村岳 / Gaku Takemura)