小久保2軍監督も高く評価 育成4年目・勝連大稀が見せる成長「今は野球が楽しい」

ソフトバンク・勝連大稀【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・勝連大稀【写真:藤浦一都】

PayPayドームでの2軍戦開催でモチベーションアップ「いやもう最高っす」

 存在感が日に日に増してきている。ソフトバンクの育成4年目・勝連大稀内野手だ。16日からホークスの2軍は本拠地PayPayドームでウエスタン・リーグのオリックス戦を3試合戦った。2軍の公式戦が1軍の本拠地で行われるのは実に7年ぶり。勝連は初戦に「2番・遊撃」でフル出場。2戦目も遊撃でスタメン起用され、試合途中から二塁へ。3戦目は試合途中から出場した。

 初めてPayPayドームでプレーした勝連は胸を躍らせていた。「いや、もう最高っす。1軍の選手はここで毎日やってるじゃないすか。インチキ(ズルい)ですよ」。憧れの場所でプレーするという経験は、更なるモチベーションの向上になった。「自分あまり緊張しないタイプなんですけど、プレーボールの瞬間は結構、緊張しました」。高校時代に出場した甲子園でも緊張しなかった“強心臓”の勝連だが、初めてPayPayドームでは良い緊張感を持つこともできた。

 ファームの選手は、普段は屋根のない屋外球場でプレーすることがほとんど。ドーム球場ならではの打球の見え方や照明の感じ方で苦労する選手は少なくない。堅実な守備が持ち味の勝連も「ボールが最初見えづらいというか、ボールがにじんで見えるみたいな感じがあった」という。最初の守備機会は5回だったこともあり、それまでは「ソワソワだった」と振り返っていた。

 プロ入り後は打撃が課題とされてきた。この3連戦が始まる前まで8試合連続安打中。初戦で3打数0安打に終わり、連続試合安打は途切れてしまったものの、「もっと伸ばしたかったですけど、でも良い当たりは今日も出ていた。それをプラスに捉えたいと思います」と頷く。明石健志2軍打撃コーチにも「別に(安打が)出なかったとか、それは結果だから。自分の状態が良かったり、感覚が良かったらそれは良い状態」と説かれた。

 プロ入りからの3年間は打撃で苦しんできたが、4年目の今季は2軍でも上々の成績を収めている。「野球が楽しくなってきました。今までは結果を気にするところもあったんですけど、今は高校の時みたいな感じで、野球が楽しいですね。何しても楽しい」と満点の笑顔で話す。「あまりマイナスに考えるタイプじゃないですけど、難しいゴロが飛んでこいとか、良いピッチャーが来いみたいな感じで思っています」。結果を残すたびに自信が深まり、プレーに好影響が出ている。

 勝連は打席に入ると、ベルトライン辺りでバットを軽く振り、脱力した状態で構えに行く。「最初は目付けというか、自分の好きなコースをここだけ打とうみたいな感じで、ライン出しのつもりでやっていました。でも、気づいたら、これをやったら打てるかもしれないと思うようになって、結果も出るようになったので、ルーティンみたいな感じになりました」と説明する。

 二遊間に怪我人が相次いだ2軍事情からしても、勝連にとって今は大きなチャンス。小久保裕紀2軍監督からも高く評価されている。「今までバッティング、バッティングって言われてきたけど、そこの結果が出始めてるんで、自分的にも今チャンスだと思っています。あまりプレッシャーを感じないで楽しんでいけたら」と自分らしさも武器に、7月末までの狭き門を突破する覚悟だ。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)