投手にも「責任がある」 オリ戦で45被安打…首脳陣が求める捕手任せにしない“自立”

ソフトバンク・斉藤和巳投手コーチ(左)と斎藤学投手コーチ【写真:竹村岳】
ソフトバンク・斉藤和巳投手コーチ(左)と斎藤学投手コーチ【写真:竹村岳】

斎藤学、斉藤和巳投手コーチが語る…オリックス戦で見えた課題

 3試合で合計45安打を浴びた。2日からのオリックス3連戦(PayPayドーム)で、ソフトバンクは1勝2敗と負け越した。4日に先発した和田毅投手は4回3失点で降板。7安打を許し、オリックス打線に「しっかり振ってくるし、バットも振れている。いいコースに投げられればいい当たりが(野手の)正面をついていたし、自分のボールも甘かったり高かったりした」と印象を語った。

 オリックスのチーム打率.271は12球団トップ(4日時点)。吉田正尚外野手(レッドソックス)がメジャーに移籍しても、森友哉捕手が西武から加入するなど、2年連続でリーグ優勝している打線はアップデートされた。藤本博史監督も敵ながら「(オリックス打線は)いいね」と唸るほど。4日は8-7で白星を拾ったものの、最後までオリックス打線には苦しめられた印象だった。

 昨季から投手陣の課題は四球を減らすことだった。昨季のチーム与四球「474」はリーグ最多。改善のためにも、ゾーンで勝負する大切さは首脳陣も何度も伝えてきた。このオリックス3連戦で45安打を浴びた一方で、与四球は11だった。今季のチーム与四球「66」はリーグ最少で、同被安打「200」もリーグで2番目に少ない。ゾーンで勝負する意識は浸透し、確実に変化は表れつつあるのだ。

 斎藤学投手コーチはオリックス戦の結果も踏まえて、現状について言及した。

「ゾーンの中で勝負しなさいよと言っている中で打たれているのは、僕の中ではあまり解せないですね。もちろん今の野球ってどんどんゾーンで勝負していって力でいくっていうのが大きな目標としてどのチームもやっている。うちはうちで、別の方向にというわけではない。ゾーンで抑え込むというのはやっていかないといけないし。球数や故障、そういうものもひっくるめて覚悟の上でやっていますので(これだけヒットを打たれても)方針としては変わらないですね」

“解せない”とは、他球団も必ず向き合っているだろう課題を、ホークスだけが解消できないはずがないという意味だ。目指す方向は間違っていない。四球を減らすという目標へ「続けられる限りは」と、今の意識を継続すると強調した。

 その上で厳しく言及もした。「出してもいい四球は必ずある。四球を出してはいけない重圧に負けて、ストライクを打たれているっていうのは投手としては少し情けない」。投手の最終的な仕事は、打者を打ち取ることであり、今はアプローチに創意工夫を重ねている。ゾーン内での“戦い方”を覚えていく段階だ。その答えは、マウンドの上でしか学ぶことはできない。

 斉藤和巳投手コーチは投手としての“責任”も指摘する。「打たれるとキャッチャーがクローズアップされるからね。配球が、配球が……って」。周囲からはバッテリー、特に捕手の問題と思われがち。2日には嶺井博希捕手が今季初の先発マスクを託されるなど、捕手起用にも少しずつ変化が見られる中で、斉藤和コーチが強調するのは、サインに納得した以上は投手にも責任があるということだ。

「ピッチャーにもオープン戦の頃から、自分でも配球を考えろって(伝えてきた)。キャッチャー任せにするんじゃなくて、基本的には(決めるのは)キャッチャーやし、首を振ることでリズムも悪くなるから、投手は出されたサインで投げるっていうのがあるかもしれないけど。試合の流れや状況を見たら、自分で首を振って、自分でも配球せなあかん」

 そして、こう続けた。「うなずいた瞬間に責任があるから」。両投手コーチが求めているのは、マウンドで考え、思い通りに操る技術を身につけること。すなわち、投手陣の“自立”だ。今ぶつかっている壁を乗り越えられた時、もっともっと厚い投手陣になれる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)

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