SNSでもトレンド入りした「ギータのヘッスラ」 柳田悠岐が語った魂のプレーの真相

ソフトバンク・柳田悠岐【写真:竹村岳】
ソフトバンク・柳田悠岐【写真:竹村岳】

昨季、左肩を痛めて藤本監督から“ヘッスラ禁止令”を出されていた

■ソフトバンク 6ー1 オリックス(4日・京セラドーム)

 今季への思いが表れる象徴的なシーンの1つだった。ソフトバンクは4日、京セラドームで行われたオリックス戦に6-1で勝利した。先発した石川柊太投手が7回無失点に抑えれば、6回1死二塁で近藤健介外野手が先制2ラン。開幕4連勝の中で1度も相手にリードを許しておらず、投打がガッチリと噛み合って最高のスタートを切った。

 1勝への気持ちがにじみ出たのはヒーローたちだけではない。6回に近藤の2ランで先制した直後だ。打席に入った柳田悠岐外野手は左腕・田嶋の107キロのカーブにバットを伸ばした。痛烈な打球は投手を強襲する内野安打に。打球を拾い直した田嶋は一塁に投げられず、タイミング的にもセーフではあったが、柳田はヘッドスライディング。続く栗原陵矢外野手の2ランで4点差となっただけに、展開を考えても大きな出塁だった。

 SNS上でも「ギータのヘッスラ」がトレンド入りするほど、ファンの気持ちも動かした魂のプレー。気持ちが入っていたか、という問いに柳田は「そんなことないです。普通にやりました」とケロッとした表情だった。昨年4月には二塁へのヘッドスライディングで左肩を痛め、登録抹消の憂き目にあった。藤本監督からも“ヘッスラ禁止令”が出るなど、常にグラウンドに立ってもらわないといけない存在だ。

 それなのに、なぜ頭から突っ込んだのか。まだまだ先は長い開幕4戦目。柳田らしい真相を試合後に明かした。

「足が絡まったので、ああいう形になったんですけど。いい感じでごまかせたのでよかったです」

 その打席前の時点で12打数2安打。次なる「H」ランプを灯したい気持ちがあっただろうが、本人は笑って振り返っていた。泥でいっぱいになったユニホームで、ゲームセットまで出場。体の状態は問題なさそうだ。

 この日、藤本博史監督の父が亡くなり、森浩之ヘッドコーチが指揮を執った。指揮官も完勝にはホッとしたはず。柳田は、ここまで4試合全てで3番に入り、打撃好調な2番の近藤と4番の栗原陵矢外野手に挟まれている。2人の活躍に「素晴らしいと思います」と手を叩いて喜んだキャプテン。1勝への強い気持ちを見せるキャプテンの背中を後輩は必ず見ている。

(竹村岳 / Gaku Takemura)