藤本監督「正木を使いたい」 “世代交代”の中心を担う覚悟と自覚「自分が食い込む」

ソフトバンク・正木智也【写真:竹村岳】
ソフトバンク・正木智也【写真:竹村岳】

藤本監督が開幕構想を明言…“世代交代”に挙げた2人の選手「栗原と正木」

 ソフトバンクは28日、PayPayドームで全体練習を行った。取材に応じた藤本博史監督は「正木を使っていきたい」とシーズンでの継続的な起用の構想を明かした。期待される2年目の大砲候補が、“世代交代”の中心になっていけるか。

 正木は春季キャンプで藤本監督からもMVPに指名された。オープン戦では打率も一時は1割台に沈んだが、最終的には打率.256まで持ち直した。3月の調子の波について「最後の方は自分の形でいけた。打てない理由も考えてわかったので、シーズンにつながると思います」と説明する。最終戦となった26日の広島戦(マツダ)では栗林から2ランを放つなど、状態を上げてオープン戦を駆け抜けた。

 藤本監督は世代交代について「いつも言うように、一気に半分、世代交代しましょうとか、うちはそういうチームじゃない。勝ちながら世代交代と考えたら1人2人、入ってくることしかできない」と勝利に対する姿勢も強調する。その中で名前を挙げながら「栗原と正木が常時、出られるような形になれば」と具体的に続けた。実績のある栗原とともに、正木はどんなふうに期待を受け取っているのか。

「期待されている中で、オープン戦は最初は打てなくて。そこに応えられなくて悔しかったです。でも最後の方でなんとか調子を戻すことができたので、少しは応えられたと思うので。シーズンでも結果を出して、もっと応えられるようにしていきたいと思います」

 栗原は今季から本格的に三塁に挑戦。時には指名打者で休ませることもあるだろうが、指揮官は「サードは栗原一本」と明言した。昨季は三塁を守った周東も「もうサードはない」と言い切るほど、三塁は栗原と決めている。正木は外野に限らず、一塁も守る。指名打者は柳田悠岐外野手、近藤健介外野手、栗原陵矢外野手でローテーションする構想だけに、試合ごとに空くピースを、正木なら埋めていくことができる。

 ルーキーイヤーだった昨季は3本塁打を記録し、今季2年目を迎える。23歳ではあるが2年目の位置づけにも「1年目で色々経験させてもらったので。『まだ2年目だから』とか、活躍しなくていいわけでは全然ないと思う。2年目だからこそ飛躍の年にしたいですし、本当にレギュラーを取るつもりでこの1年を過ごしたいと思います」と力強い。首脳陣からの期待ははっきりと自覚して、2年目の春を過ごしている。

 昨季は打率.254の中で、左投手に対しては打率.293だったのに対し、対右投手は打率.192。はっきりと出てしまった課題を胸に、オフから過ごしてきた。藤本監督はオープン戦での正木について「右投手も後半は打ったしね。栗林から打ったのも自信になると思う」と、右投手での起用も頭にあるようだ。柳田、近藤、栗原と主力の左打者が並ぶだけに、右打者が大きな鍵を握っていることは間違いない。

「そこはチャンスだと思っている。チームとしても右打者が出てこないといけないですし、自分が食い込んでいけるように」とビジョンは描いている。正木が次世代のホークスを背負えるようになれば、また常勝時代はやってくる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)