藤井皓哉が試していた“ある”工夫 なぜ1巡目は真っ直ぐとフォークだけで攻めたのか?

ソフトバンク・藤井皓哉【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・藤井皓哉【写真:福谷佑介】

「リリーフのときの感じで投げたいっていう自分の意思もあった」

 ソフトバンクの藤井皓哉投手が11日、ベルーナドームで行われた西武とのオープン戦に先発し、5回を4安打2失点に抑えた。今季から先発に転向する右腕は、入団後最多となる79球を投げて収穫のある登板に。降板後にも「方向性は見えたかなと思います」と手応えを口にしていた。

 前回登板で「タイミングが合わない」と課題を口にしていた。長いイニングを投げるためにペース配分を考えると、微細な狂いが生じた。この日は先発ながら、中継ぎのように1イニングに全力を注ぐスタイルで投げた。序盤はやや苦しんだものの、3回以降は立て直し「今日の方が良かった。その積み重ねで長いイニングを投げていけたらいいなと思いますけど、まずは目の前の1イニングをしっかり抑えられるようにとやっていきたいと思います」とスタイルは定まった。

 開幕までの調整登板は、この日も含めて残り3試合。藤井はこの日の立ち上がりである工夫を凝らした。西武打線を相手に1巡目は真っ直ぐとフォークのみを投じた。2巡目に入ってからスライダーや、今季から取り入れたカーブも交えて緩急を使った。そこにはある狙いが込められていた。

「今日に関しては真っ直ぐとフォークで1巡目は行きたいっていう、リリーフのときの感じで投げたいっていう自分の意思もあったので、その中で投げていました。結果打たれたりはしたんですけど、それが後半、スライダーを使ったりっていうのでカウント取れたりっていうので良かったかなと思う。立ち上がりってのは反省しなきゃいけないところなんですけども、しっかり次回以降もそういうピッチングをできるようにしていきたいと思います」

「技術的な話になってしまうんすけど、曲がり球を投げているとフォークだったり真っ直ぐが、ちょっと自分の感覚と違うところもあった。キャンプでしっかり投げてきたので投げなくても(感覚は)忘れないですし、そこをあえて投げないで、まずは1巡目は真っ直ぐとフォークで押してみようと思ってやりました」

 ストレートやフォークと違い、横変化をつけるカーブやスライダーは投手にとって感覚が異なるもの。“曲がり球”に意識が向くと、今度はストレートやフォークといったボールに悪影響を及ぼすこともある。この日、藤井はそのリスクを極力減らすために、1巡目は“曲がり球”を封印し、昨季の投球の柱となっていた真っ直ぐとフォークだけで攻めたのだった。

 この日の投球の中で「スライダーに関してはいい感じで投げられました。カーブももう少し使っていけたらいいんですけど、前よりは使わないようにしていこうかなっていう感じですね」と語り、その部分でも方向性が見えたよう。開幕2戦目での先発が確実な藤井。登板の中でも、さまざまな試行錯誤を凝らし、調整を進めている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)