若鷹にカツ「脳の中の野球の割合を9割以上にしないと」 小久保2軍監督のコメント全文

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:米多祐樹】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:米多祐樹】

B組は2日、2月1日から行っていた春季キャンプを打ち上げた

 ソフトバンクのB組は2日、宮崎市の生目の杜運動公園で行っていた春季キャンプを打ち上げた。2月1日から1か月超に及ぶキャンプを終え、小久保裕紀2軍監督がキャンプを総括。指揮官のコメント全文は以下の通り。

――このキャンプの1か月は。
「率直な感想は長かったなと思います」

――1か月間の雰囲気をどう感じていましたか。
「この春単体という考えより、去年の秋に野手がすごく少ない人数でキャンプをしたんですけど、その中で藤野だけが離脱で、残りは全員最後まで完走した。これだけの巨大戦力なんですけど、そのメンバーはこっちに連れてきてやりたいなという中で9人全員連れて来られたんですよね。その中で前半、彼らが結構引っ張ってくれて。秋を経験していない選手たちをどっちかというと“お前たちそんなこともできないのか”的な感じで引っ張っていたのが印象的だった。もちろん技術練習はするんですけども、その前に彼らは体力強化っていうのを抜きには語れないんで、そういう点では秋から春にかけてのつながりを感じたキャンプでしたね」

――小久保2軍監督はどんなテーマを持って臨まれた。
「基本的には怪我をさせないためにメニューは組まないですけど、(怪我人は)出したくはないですよね、当然。最初ちょっと海野が捻挫したり、ゲームでのアクシデントはしょうがないんですけど、与えた練習の中で怪我人を出さないところがどのぐらいなのかっていうのを探りながら来たんです。三代がちょっと太ももをおかしくしましたけど、結局、完走できたので、そういう点ではこっちが考えているぐらいのものはできたかな、と」

「今年の春は量より質にこだわったので、フリーバッティングを1か所でやりながら、秋の延長で実戦により近い形で(変化球の)ミックスを取り入れたり、ラスト1本をいい打球で終わらず、1球は1球で終わらせるというのを継続してやった。ゲームに通用する練習の中でいかに質を高められるかっていうことはテーマでやってきました」

――バッティングピッチャーをされたり、精力的に動かれていたイメージ。チームへの手応えは。
「手応えは……、あれだけ1軍の戦力を抱えているホークスですから、ここからすぐ1軍にっていうことはちょっと難しいかもしれないですけど、ただウォーミングアップを含めて、去年の春よりは全然やっぱいい。言い続けてきたことは少しずつはできてきてるのかなという気がするんで。規律まではいかないんですけど、2軍でやってきたことから波及していくみたいな、そういうふうに持っていきたいなと思います」

――明石コーチが新たに就任し、本多コーチが2軍に。
「本多コーチはコーチを初めてしたのが1軍でしたから、基本的にその選手たちを上手にするというよりは、いかに試合に出させるかっていうところがメインだったと思う。でも、2軍はそういうわけにいかないんで。やっぱり技術を上げる選手ばかりなんでね。その限られた時間の中で、限られたスペースの中でできるドリル的なものがあった方がいいよって話したら、このオフにだいぶ勉強してきたみたい」

「それを取り入れながらサブの方でやってましたし、これはファームの場合は年間通しての継続なんで、ビジターに行ってもその後に強化をしたり、個別練習をしたり、技術は永遠に続くんで、それがビジターでも、限られたスペースでもできるものがある方がいいんで。そういうものは仕入れておきなさいって話をして。明石コーチに関しては、教えたくてたまらなかったでしょうけど、あまり教え過ぎないようにというところで話をして。バッティングコーチと我々は、バッティングの担当の人が別々に違う指導しないようにっていうことだけは徹底しました。選手を悩まさないってことですね」

――ピッチャーの中で1番伸びたな、目を引いた選手は。
「ピッチャーはあまりね……。どっちかっていうと(風間)球打が心配な感じ。これからちょっとこの先のことの話をするんで。このままここで投げ続けさせてもいいものか、と。彼の将来に関わるところなんで。もう1回、基本というか基礎からやった方がいいのかなという答えのないところで選択していかないといけないんで、ちょっとピッチングコーチとはじっくり話をしようかなと思っています」

「あとは左の中継ぎがチャンスですよ。はっきり言ってホークスの中では一番薄いのが左の中継ぎ。嘉弥真がもし駄目なら、1軍監督はそれは考えたくはないでしょうけど、次の名前が挙がらないんで。田浦にしても渡邊(佑)にしても、正直3桁の中道にしても村上にしても、はっきり言ってかなりチャンスはあります。一番支配下を勝ち取れる枠は左の中継ぎです。彼らにはそういう話をしているんで、本気で嘉弥真さんがいても2番手に左の中継ぎとして入る、そういう目標を持ってやってほしいですね」

――田上投手は一昨日の1軍戦でもアピール。
「あれぐらいはできる子なんで。去年一番成長した。今年はもちろん1軍での登板をしてほしいですけど、それよりもファームでは絶対的な存在として、しっかりローテを守りながら長いイニングを投げないと。あのぐらいはします」

――野手で特に良かった選手は。
「秋から成長したのは(笹川)吉康じゃないですか。だいぶムラがなくなりました。人間なんで機嫌の悪い時はあるんですけど、それが顕著に出る選手だったんですが、そこが昨年から少なくなった、ほぼほぼなくなってきた。自分が状態が悪いときに苛立ってモノに当たったりとか、やるルーティンをやらなかったりとかっていうタイプだったんですけど、それがなくなったのが、伸びる要素として一番大事な部分だったんで。それが加わったのは、あのポテンシャルですから」

「この前聞いたら、あそこから球場が見える場所あるじゃないですか。『柳田選手が打ってる』ってファンが言っていたらしいんで。柳田は向こう(A組)にいるはずなんで、ここで打ってるはずないのに、ファンがそういうふうに勘違いしたぐらいのバッティングをしていたんでね。飛距離はもうズバ抜けてますよね。ここで打ったら、道路まで危ないぐらいなんで。彼は今年のテーマは飛ばすことよりも合言葉は『3割』でスタートしているので振りすぎたら注意します。3割打ったらたぶん15本から20本近く打っているというのが、我々が導いた答えなんで。3割打たせます」

――WBCでホークス勢に期待すること。
「シビれるのは間違いないんで。なかなかできる経験じゃないですし、自分の野球人生において非常に自信にもなるでしょうし。野球人生の厚みも増すと思うんで、ぜひとも世界一になる姿を陰ながら見守りたい、応援したいと思いますね」

――改めて小久保さんにとってWBCとはどういう舞台ですか。
「もう1回やれるかっていうと、やれないと思う。それぐらいのしかかったモノが大きかった、重かった。今回のメンバーを見て純粋に見てみたいなって、同じ野球人として思うチーム。夢があるなっていうふうに久しぶりに感じるチーム編成だと思う。簡単に世界一にはなれないですけど、アメリカに1-2で負けたあのシーンはもう一生忘れることはないでしょうから。なんとかトロフィー掲げて世界一になってるっていう姿を、僕もイメージしながら、やり返してほしいなというふうに思います」

――去年も藤本監督と密に連絡をとっていた。
「そうですね、もうそこ抜きには語れないんで。あとは今年、4軍ができたんで、2軍のラインはちょっと濃くしようかなって。やっぱり4軍から1軍って(イメージを)描きにくいと思うんですよね。でも、4軍から2軍、NPBのチームと試合するっていう目標の選手はかなり増えると思うので。もちろん藤本監督とずっと連絡をとりながら、1軍にすぐ上げる選手、控えさせる選手とは別に、2軍の試合にという状態の良い3、4軍の選手たちを来てすぐ使ってあげる。そういうところは見逃さないようにしないと、彼らのモチベーションも含めてですね」

「2軍に昇格なんだというラインは濃くしよう、逆に2軍から3軍に降格というラインも濃くなるわけですから。支配下であったとしても結果が出なければ3軍で試合に出ておいで、と。選手に一番最初に話したのは、今年は2軍といえども競争が生まれますよ、と。昨年みたいに優先的に与えられる打席っていう考えはなくて、2軍も競争の中で結果を残した選手から順番に試合に出られますよという話をしました。厳しい世界だと思います、120名以上いるんで」

――若手たちへの期待と、ご自身の意気込みを。
「技術が劣ってるから2軍にいるんで、これはすぐに埋まらないですよね。埋める努力はし続けないといけないとは思うんですけども、1軍選手よりも野球に対する考えであったり、取り組み方であったり、姿勢であったり、空いてる時間をどう使うかっていうようなところは最低勝っておかないと、多分追い抜けないと思うんですよね。彼らは常に脳を占めている野球の割合が9割以上ある生活を送らない限りは、間違いなく1軍の舞台に立てることないと思う」

「そこに向けてのサポートはいくらでもするし、迷わせないように指導方法を統一させますし、やりますけど、やっぱり脳の中の9割以上を野球が占めているように持っていくのは本人ですからね。しっかりサポートしながら、彼らにはそのぐらいのモノがないと1軍には行けませんよっていうのは言い続けたいな、と。自分に対する期待は……できないことを何でできないんだと怒らないことですね。できないからここにいるんだと言い聞かせることですね」

(ペン記者囲み)
――水谷選手が今日はA組の試合に。
「ずっと良かったですね、こっち来てから。ドミニカに行ったんでしょ、去年、自分で。結構打ち方がシンプルになって、送球に結構難があったんですけど、キャンプ通してすごくスローイングが強かったですね。去年の春よりは全然いい。去年も向こうからスタートしたんですけど」

――笹川選手とは面談とかで話した。
「いや面談はしていないです。練習メニューじゃないですか。練習メニューがいつもしんどくて諦めていたのを、諦めさせないようにコーチ陣で持っていったらそうなりました。限界までってあんまりみんな行かないんですよね。突き破ったら怪我するんですけど、ちょっとうまくその辺のラインを押し上げるみたいなイメージで。笹川がキレてジョギングに変わるようなところで、ちょっと頑張らさせたら、殻が破れました。今年の400メートル走、ダントツでいい走りしてました。面白いなと思いましたね。選手から気づかせてもらいました。そこまで持っていくのも指導者の仕事なんだと思いました」

――頭の中の9割ということですけど、若手の実際の意識は。
「まだまだ、まだ5割ぐらい遊びと他のことを占めているんじゃないですかね」

――それぐらい取り組まないと。
「そりゃそうですよ。技術が劣ってるからこっちにいるわけなんで、それを埋める努力はするけど、それは一気にはいかないですからね。そのために一つ一つの野球に対する取り組みの中身の濃さですよね。一つの練習に対するそういうものを高めていかないと、という話もしましたけどね、初日に」

――海野選手は1軍に上がるんじゃなくて1軍で活躍するためにと言っていた。
「それは彼が1軍にいた選手なんで。どんな形でも28人に入る、海野は屈辱的な2軍スタートから2軍にいる、というところでの1軍としての戦力ということになったのだと思います」

――風間投手の修正は。
「ちょっと時間かかるんじゃないかなっていうのは、僕の考えなんで。あとはピッチングコーチとすり合わせて、ちょっとぐちゃぐちゃになってしまう前にちょっと試合から離した方がいいんじゃないかなっていう、現時点では僕はそういうふうに考えているんですけど。ピッチングコーチが、担当コーチが一番近くで見ているんで、どういうふうに考えているかっていうのをこれからちょっとすり合わせしようかなと思っています」

――A組ではホークス歩調がない。B組ではやっていた。
「でも2回だけよ、やったの。毎日じゃない。コロナで出来なかったんで、コーチの方から提案あって『やってみませんか』と。笹川とか井上とかやったことないと思う。川原田とか笹川、井上、牧原巧…提案があったんで、いいんじゃないって」

――ホークス名物を復活させたいという思いかと。
「いや俺が言ったわけでなく、コーチの提案」

――栗原選手が走る時に恐怖があると。
「出てたら慣れてきます。ゲームが増えるとですね、僕も最初めちゃ怖くて、ガチガチのテーピングで、最初の頃はサポートの器具まで着けて試合したぐらいで、でもそれは段々慣れていくので心配ないです。もうちゃんとくっついてるんで。あとは普段の筋力トレーニングをちょっと継続することが大事なんで、やっとけば問題ないです」

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)