牧原大の追加招集に感慨「泣きながらやったのを覚えている」 藤本博史監督のコメント全文

選手たちに牧原大成(右)の侍ジャパン招集を発表する藤本博史監督【写真:竹村岳】
選手たちに牧原大成(右)の侍ジャパン招集を発表する藤本博史監督【写真:竹村岳】

ロッテとの練習試合は1安打で敗戦「寂しかったけどね」

 ソフトバンクは1日、宮崎市のアイビースタジアムで「球春みやざきベースボールゲームズ」ロッテ戦を戦い、1-3で敗れた。先発の板東湧梧投手が3回を投げて5安打3失点。その後の投手陣は無失点で繋いだものの、打線が上林誠知外野手のソロの1安打に終わった。この日、野球日本代表「侍ジャパン」に追加招集された牧原大成内野手についても語った藤本博史監督のコメント全文は以下の通り。

――牧原大成内野手が追加招集。どんな反応を。
「今すぐ返事せんでええから、1日考えてから返答したらどうや、って。本人も去年、一応ジョーカーという形でレギュラーを掴んで、規定打席には2打席足りなかったけどあれだけの成績を残して、今年は絶対レギュラーを取ろうということでこのキャンプに入ってくれてね」

「ただ鈴木誠也が怪我して招集されたってことは光栄なことだから。行くことになったら気持ちよく送り出すよって。あとは君が決めなさいということで。ちょっと本人も悩んでいたんですけどね。本人も良い状態できているんで。当然、開幕スタメンも頭の中に入れてやってきていただろうし、葛藤はあったんじゃないですか。その中で1日考えて、悩みまくったと言っていたんで。本人が『行きます』というから、じゃあ行ってこいということで送り出しました」

――返事があったのは今日の朝か。
「今日の朝です」

――監督にはどういった感じで連絡が。
「会社から。NPBから会社、会社から(自分に)。光栄なことだからね。日の丸を背負ってやるわけだから、思い切ってやってくればいい。当然、選ばれたっていうことは、それだけの力があるって認められたということ。そこはもうしっかりと胸を張っていけばいいんじゃないかなと思います」

――育成5巡目から日本代表になった。
「いろいろ彼は苦労してるでしょうから。100番台で入ってきてね。秋山さんが監督の時もバッティングですごく悩んでね。泣きながらバッティングしていたことも覚えているし。『どうしたらいいんですか』と、わからなくなったこともあるだろうし、それを乗り越えて今の地位にあるということは素晴らしいことじゃないですか」

――入団した頃からセンスを評価してきた。
「足も速いし、肩も強いし、バッティングセンスもある。どちらかというと入った頃はイチローみたいに(体が)流れながら打つタイプだったけど、それを当時の秋山監督から『そのバッティングじゃダメだ』ということで。『ついて(見て)やれ』と言われて一緒にやったけど、なかなか最初はうまくいかなくて。それが今固まってこういう状態になっているわけだから、本人の努力でしかないですよね」

――泣きながら打っていたのは覚えている。
「一緒に室内でずっとやっていたから。『どうしたらいいですか』って言うから、とりあえずやってみようって。テニスボールを打ったりね。タイミングの取り方とか、ワンバウンドに自分から入って打つとか。ボールを上にあげて自分からそこにトップを作って打つとか、いろんなことをやりましたよ、練習方法として」

――当時はまだ育成だった。
「その時は支配下になっていましたよ。なっていましたけど、そこから目指すところというのは当然1軍定着っていうところだからね、その当時は。なかなかまだそこが定着できなかった時代だったから」

――打撃フォームを固めないといけなかった。
「前に、前にいく。どっちかと言ったらイチロータイプで、前にいきながら壁を作って打つタイプだったけど、軸でしっかり回りなさいっていうことを言われた覚えがあります」

――大舞台でやれる気持ちの強さもある。
「ウニャウニャしているけど、心はしっかりしていますからね。元気もありますから」

――監督も2011年から指導者としてホークス入りした。同期入団ですけど、感慨深い。
「もう嬉しいですよね。牧原(大)がそこまでの選手になったのかって。侍の補充メンバーの中に牧原(大)が入っていること自体が、それぐらいの選手になったかというところで。これが1番目で選ばれたということは本当に彼の努力の賜物じゃないかなと思います」

――栗山監督からの連絡は。
「まだないです。おそらくあるんじゃないですか。いつもメンバーが決まったという電話をくれるので」

――主力が1人欠ける形に。
「欠ける形になったけど、野球しないわけじゃないからですね。しっかり自分で向こうに行っても自分のやるべきことをしっかりやって、こっちの開幕にも合わせてくれたらいいんじゃないかなと思います」

――ロッテとの試合に関しては。
「寂しかったけどね。打線は上林のホームラン1本だけ。栗原とか内容のいいバッティングをしている人もいたので。まだオープン戦ということで、若い選手は今結果を出さなくちゃいけないところ。なかなか結果が出ていないっていうところで、サバイバルをやっているという気持ちを忘れないで、明日、最後に宮崎を締めてくれたらいいんじゃないかと思います」

――センターを争う上林選手が7回にソロ。
「争いの中っていうか牧原(大)が1番手だよね。このキャンプずっと見てきて、去年の実績もある。今年のキャンプを見ても、やっぱりセンターの1番手は牧原(大)だからね。でも牧原(大)のいない間に虎視眈々と狙っている若い選手がいるんじゃないですか。目立ってやろうと、それくらいの気持ちでやってもらわないと困ります」

――上林もその1人。
「当然、上林誠知も去年怪我して、もうイチからの出発になっているわけやから。今日のホームランは自信にしてもらったらいいし、まだ本人の、彼自身のバッティングの状態ではないと思うんですよね。今も残ってロングティーをやっているけど、どんどんどんどん状態を上げてくれたら。虎視眈眈とセンターのポジションを狙ってくれたらいいんじゃないですか。牧原(大)も向こうに行って、いい選手を見てしっかりと勉強してくるのも良いことだと思うし。いい選手ばっかりですから」

――松本晴が2回無失点。
「コントロールがいいし、ベース板で強い。楽しみな選手だなと思います」

――役割的には。
「それはわかりません。まだ1回しか投げてないのに。将来的なことを考えたら先発ローテーションでしょうね」

――7回候補の投手も登板した。
「泉は前回よりもよくなっているので、反省を踏まえて今日の登板に投げてくれていると思う。津森もいい球を投げているんだから、せっかく追い込んでいるのに四球はもったいないですよね」

――先発の板東湧梧は3回3失点。
「ほとんど芯で捉えられている。正面も突いているしね。ボールが高いのかな、甘いのかな、と。あとでチャートも見ます。そこはまだ3月が始まったばかりですから、中旬くらいには『板東いいな』っていう形になっているんじゃないですか。 ローテーションも競争しているわけですから。開幕投手と裏の石川柊太だけですから、決まっているのは。先発候補はまだ10人くらいいるのかな。その辺で一番状態がいい人をはめていく形になると思います」

(竹村岳 / Gaku Takemura)