新フォームに挑む難敵から2得点 長谷川勇也コーチは侍ジャパン戦で山本由伸をどう見たか?

ソフトバンク・長谷川勇也1軍打撃コーチ【写真:竹村岳】
ソフトバンク・長谷川勇也1軍打撃コーチ【写真:竹村岳】

侍ジャパンとの壮行試合、山本由伸から正木とガルビスが連続二塁打

 ソフトバンクは26日、ひなたサンマリンスタジアム宮崎で野球日本代表「侍ジャパン」との壮行試合「カーネクスト侍ジャパンシリーズ2023 宮崎」に臨み、2-4で敗戦した。連敗に終わったものの、打線はシーズンで強敵となる山本由伸投手(オリックス)から3回で2点を奪った。この現状を長谷川勇也1軍打撃コーチは「あと1か月あるので。何も焦ることはない」と受け止めていた。

 山本が見せたのは、今取り組んでいる新フォームだ。左足を高く上げず、クイックに近いようなモーションで投球する。圧倒的な球に加え、打者もタイミングには苦労しているように見えた。ホークスにとっても昨季5試合対戦して3勝を献上、防御率1.93と苦しめられた難敵。あと一歩のところでオリックスに逆転優勝を許したからこそ、山本の存在もより高い壁に感じざるをえなかった。

 打線は初回1死一塁から栗原陵矢外野手、柳田悠岐外野手が連続三振を喫した。ともに勝負球は152キロの直球だ。2回1死からは正木智也外野手が三塁線を破る二塁打で出塁し、続くフレディ・ガルビス内野手の適時二塁打で正木が生還。その後も敵失が重なり、2点を奪った。3回は3者凡退で結果的に2安打、球数としては39球を投げさせた。

 昨年10月のクライマックス・シリーズ以来の山本との対戦。進化を止めない日本球界のエースの新フォームを、長谷川打撃コーチはどう受け止めたのか。

「見ている感じでは、まだ自分のリズムにはなっていない感じはしました。でもそこは、彼はアジャストしてくる能力の高い選手なので、しっかり仕上げてくると思います。今日はマウンド、条件がね。マウンドの傾斜もなかったので、彼のあまり好きじゃないマウンドだったのかなという気もしました。マウンドが変わるだけでもガラリと変わるので」

 この日の球場は、シーズンで常時使用される場所ではない。屋外であることなど、条件面も踏まえた上で、長谷川打撃コーチはまだ完全と言えるほどには自分のものにはなっていないのでは、と分析した。その上で「アジャストしてくる能力の高い選手」。開幕まで1か月あることは相手も同じ。山本の能力に関しては、長谷川打撃コーチだって身をもって知っている。

 WBCという大会がなかったとしても、今季はオリックスとのオープン戦はない。次に当たるとすれば、真剣勝負のレギュラーシーズンだ。この時期に対戦できたことに「大きいと思いますよ。あと1か月ありますから、しっかりアジャストしていけたらと思います」と前向きに捉える。今は結果を度外視できる時期。対戦できたことが大きな収穫になったはずだ。

 25日には佐々木朗希投手(ロッテ)と対峙して、2回無失点3三振の投球を許した。2試合トータルで計11安打6得点に終わったものの、長谷川打撃コーチは「打てなかったからダメというわけではなくて、そのレベルに早く持っていけたら。あと1か月あるから。何も焦ることはない」と言い切る。世間が世界一を目指す侍ジャパンに熱くなる中で、ホークスは確実に日本一を奪い返す準備を進めている。

(竹村岳 / Gaku Takemura)