SNSで反響を呼んだ1枚の写真 泉圭輔が子どもと目線を合わせてサインをする理由

ソフトバンク・泉圭輔【写真:竹村岳】
ソフトバンク・泉圭輔【写真:竹村岳】

昨季強く感じたファンのありがたみと心ない言葉の怖さ

 SNSに投稿した1枚の写真が反響を呼んだ。ソフトバンクの泉圭輔投手がファンの子どもに対して、座って目線を合わせてサインしている写真だ。これを見たファンからは「いずみんの優しさが素敵すぎる」「好感度しかない」「こういうところが好き」との声が相次いで寄せられた。

 泉本人に、この瞬間について話を聞かせてもらった。投手のロッカーに入ろうとしていたとき、女性ファンからの声に足を止めて、サインに向かった。すると子どものファンからもサインを求められた。泉もスッと座って目線を合わせた。子どもに限らず、ファンに目線を合わせる理由はどんなものなのか。

「大人だとある程度、目線も同じラインですけど、小さい子は見上げないといけないじゃないですか。いきなりこんな大きい人がきたら怖いと思いますしね。なるべく同じか、それより低い目線で話したり、サインを書いたりしたいです。同じ目線で話ができたら、子どもたちも嬉しいと思うので。僕も小学生の時の記憶とかでも残っているので、子どもたちにもそういう記憶として残ってくれたらと思います」

 ファンの大切さは、日付とともに心に刻み込まれている。昨季10月2日のロッテ戦(ZOZOマリン)。勝てばリーグ優勝という状況で逆転3ランを許した。自身のSNSにも多くの声が届いたという。「何個か誹謗中傷というか、心ない言葉もありました」と明かしたが「それをかき消すくらい、圧倒的に、励ましてくれる声があったので」。優勝を逃したのは、泉だけの責任ではない。あのマウンドにたどり着くまでの泉の頑張りを、誰よりも知っていたのがファンだった。

 応援する声にあふれていたとしても、ある種の“怖さ”も知った。応援も批判も含めて、ファンとの距離感を考えさせられる出来事だったはず。「本当に1つ、2つでも心ない言葉があると、あの時はグサッときました。怖さも知ったし、ある意味いい経験でした」。その上で泉は言う。自分はファンの存在に救われたんだ、と――。

「打たれて優勝を逃して、今までもファンの方々に応援してもらってありがたいと思っていましたけど、去年打たれた日以上にそう思ったことはないです。いろんなところから『頑張れ』『僕のせいじゃない』という声をいっぱいもらったので。改めてファンの方々の声って大事だなと思いました。そういう励ましてくれる人、応援してくれる人を大事にしないといけないと思います」

 泉自身も幼少期に経験がある。石川・金沢市で育ち、試合が開催されれば金沢の球場に足を運んだ。巨人の選手から直接ボールにサインをもらった経験もあるといい「実際、それもファンとして嬉しかったですし。あとは自分がアイドルが好きなのもあって、ファンの方々の心理はわかると思うので」と語る。子どもながらに感じたワクワクも、嬉しさも、今でも覚えている思い出だ。

 今春のキャンプでは、ファンサービスが解禁された。ファンは選手を見ているが、選手もまたファンを見ている。「子どもが前にいて、後ろから手を伸ばして『サインください!』ってされると、子どもが危ないじゃないですか。ちゃんと並んでいる人とか、僕らもなんとなくわかるので」と明かす。その瞬間において、誰にファンサービスするべきなのか。きっとファンが思っている以上に、選手は敏感に感じ取り、ファンとの距離感を詰めている。

 最後に、聞いた。感謝や愛情など、この記事を通して、ファンの方々に伝えたいことはありますか、と。泉からの答えはこうだった。

「去年、誰よりもファンの方々の声の、いいところも悪いところも経験したと思うので。本当に1人1人の応援がちゃんと届いています。一言でも、力のあるものなので。『応援しています』の一言でも、批判でも。どちらも力を持っているので、なるべく応援する言葉であふれたらいいと思うし、選手はそれを受けて頑張っているので。たくさん応援してほしいなと思います」

(竹村岳 / Gaku Takemura)