「全くの別物」WBCは“命を削る”場所 前回大会指揮官の小久保2軍監督のコメント全文

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:竹村岳】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:竹村岳】

B組の練習後に小久保2軍監督が取材に応じた

 ソフトバンクの小久保裕紀2軍監督が宮崎キャンプ第3クール3日目の13日、取材に応じた。あいにくの空模様のため、B組はこの日、午後から室内練習場で練習を行った。指揮官の一問一答は以下の通り。

――WBCに出場する甲斐拓也捕手と少し話をした、と。
「命を削っておいで、って。出たものにしかわからない。でもお金で買えるものでもないしね。名誉なことですよね」

――ホークスから出場する3選手にはどんな姿を見せてほしい。
「プレッシャーを感じずにと言っても、感じてしまうでしょうから。プレッシャーを感じた上でうまくそれをコントロールできるやつが勝てると思うので。あいつ(甲斐)は大きな舞台を踏んでいるし。周東もプレミアに出ているし、近藤も去年のオリンピックに選ばれている。みんなその舞台の経験があるので、緊張のコントロールの仕方はわかっているでしょう」

――2017年の大会では指揮を執ったが、シーズンなどとの重圧とは別物。
「全くの別物。比較するものがないです」

――野球人生を振り返ってもなかなかない緊張感だった。
「そうやね、ないし、もう1回命を削れるかと言ったら自信はないですね」

――キャンプの話になりますが、中盤にきてのB組の雰囲気はいかがですか。
「このクールが多分一番しんどいので。明日、シート打撃をして。これが実戦が入ってくると体は少し楽になるので。三代が足を痛めましたけど、そのくらいまでは想定内なので」

――上林誠知外野手と野村大樹内野手が16日からA組に合流する。
「そうそう。だから今、筑後から誰を呼ぶのか人選中なので」

――当然、野手になる。
「もちろん。野手が2人減るので、補充する予定です」

――上林の状態はどうでしょう。
「手術明けだったので、いきなりA組からスタートしてガンガンするよりは……と。で、こっちでやったんですけど、逆に下半身のサーキットメニューも全部ついてきていたし、やれる範囲で。しっかりと体作りという点では、上よりは下の方が体作りは最初多かったので逆に良かったんじゃないかと思います」

――監督も下半身の怪我を経験したと思うが、上林は順調にステップを踏んでいる。
「シャトルランも含めて、本人は少し怖さはあると言っていたけど。でもそれってやれることによって解消していく問題なので。シャトルランもみんなについてきてやっていました。体が万全な上でしか、あの競争に勝ち残っていくのは無理でしょうから。あの競争に殴り込みをかけるくらいの準備ができたんじゃないですか」

――昨季、2軍から多くの選手が1軍できっかけを掴んだ中で、オフには補強があった。2軍監督の立場としてはどう受け止めているか。
「狭き門なので、当然、怪我とか故障がなければチャンスが巡ってこない選手もいるでしょうから。でもその時に入れるかどうかは、普段からの取り組みだと思う。普段から『この戦力じゃ無理だ』と思って日々を過ごすのか、ワンチャンスを狙える位置を意識して自分の人生を生きていくのか、そのチャンスの掴み方は全然違うと思う」

「あれだけの補強でちょっと難しいと思うかもしれないけど、万が一、チャンスが回ってきた時に掴めるやつというのは、それによって日々の行動を変えないやつらだと思う。ブレずにやるべきことをやっているかどうかの確認をしているやつらには、女神は微笑んでくれると思いますよ」

――監督も現役時代『この補強すごい』と思った経験があったか。
「でも、俺の場合は負けると思ったことがなかったので。だからラッキーですよね。勝負できるし、勝てると思っていたので」

――まさに凡事徹底が大切。
「そう! 普段の取り組みが置かれた状況によって変わらない。これは尊いことですから。どんな状況だろうと自分のやることだけはきっちりやることが一番大事なことなので。そういう子には女神は微笑むと思います。万が一、上で何かあったときに、お呼びがかかって。そこでいいものを出せる。普段、そこを取り組んでいないやつに、チャンスが巡ってきてもいいものが出せるとは思わないですね」

――万が一のために、どれだけ準備ができるか。
「そういうことです。置かれた状況に関わらず、自分がやり続けないといけないことをやり続けられるか。野球以外でも一緒じゃないですか。人生の運を掴むコツだと思います」

(竹村岳 / Gaku Takemura)