「エースいない」…藤本監督が語る先発陣の“現状”と開幕投手を決める時期 一問一答

ソフトバンク・藤本博史監督【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・藤本博史監督【写真:福谷佑介】

ソフトバンクが春季キャンプをスタート 藤本監督「無事で迎えられた」

 ソフトバンクは1日、宮崎市内の生目の杜運動公園で春季キャンプをスタートさせた。充実の初日を終えて、藤本博史監督が取材に応じた。開幕投手を決める時期や、新加入の近藤健介外野手の印象などを語った。一問一答は以下の通り。

――初日を終えて。
「初日はスクリーニングとか体力測定とかで時間を取ったので、軽めの初日となりましたけど。選手全員元気に動いていたので。トレーナーの報告も、ほぼ無事で初日を迎えられたので良かったと思います」

――練習前の円陣ではどんな言葉を。
「まず1年間、打つ方でも守る方でも投げる方でも、悩んでプレーしないということ。コーチとコミュニケーションを取って、これだというものをね。決めて行動に移るように伝えました。去年は怪我人がたくさん出たので、怪我人を少なくするという。その辺はトレーナーとも相談して自分の体をケアしてくれと伝えました」

――A組は44人の大所帯。
「候補は50人くらいいたんです。去年若い選手が1軍でいい経験をして、ほとんど呼んであげたかったですけど。それを絞って44人になった。その中である程度、競争と考えると、ポジション的に投手22人、野手22人になったんじゃないかと」

――掲げているテーマは。
「競争ですね。本当、ある程度実績のある選手は普通の若い選手とは違うと思いますけど。去年のオフから秋のキャンプから、ずっと競争と煽ってきたので。横一線ではないかもわからないですけど、横一線くらいの気持ちでやってくれということですね」

――野手も激しい競争
「助っ人もまだわからない状態ですし、アストゥディーヨなんかはサードがメインと言っているので。そこに栗原が今年からサードでやると決めているので、そこは競争になってくると思うし、リチャードもいるし。レベルの高いポジション争いになると思います」

「その中で、複数ポジションですね。できる人はやってもらう。メインは決めておいて、サブのポジションも練習、8対2、7対3くらいでやっていけば。両方を高いレベルで競争した場合、違うポジションにいく場合もあるので。できる人はやってもらおうと思っています」

――投手陣でもほとんどがブルペン入り
「去年まで中継ぎをやっていた藤井や森が先発候補に回っているので。森なんか、すごくオフから意気込んでやってくれていたので。周りが逆に『森があれくらいやるなら』という気持ちになってくれているんじゃないかなと思います。先発候補も10人くらいいるのでね。競争は6枠しかないので、厳しくなると思いますけど。どんどんアピールしてくれたらいいんじゃないかなと思います」

――有原航平投手や近藤健介外野手らが新加入。近藤の打撃は
「軸が全くぶれないので。お手本になるんじゃないかと思います。初日で全力で振っているイメージもなかったし、ある程度自分で考えてバッティングしているんだろうけど。本当に軸がぶれない選手。すごくいいトップのタイミング、間合いを取っているなというのがすごく感じました」

――有原にも柱として期待する
「当然、ローテーションに入ってもらわないと困る選手ですね。そこも実績はありますけど、投手陣も競争とやっているので。いいところをアピールしてもらいたいと思います」

――若鷹たちに目を向けると、1人でも出てきてほしい
「右打者は特に出てきてほしいですね。リチャード、正木、野村勇、この辺りが9人の中に入ってきてくれたら嬉しいですね」

――A組には大津亮介投手、松本晴投手、生海外野手もいるが、評価などは
「初日で評価するのは難しいと思いますけど、投手2人に関しては斉藤和巳投手コーチが今年1年目ということで見てみたいとA組に入れたというのもあるし。大学、社会人というところから来ているし、即戦力として取っているところもあるので。その辺は無理させずに、じっくりと見ていきたいです。これは生海もそうですね」

――生海は体も大きいが打撃面は
「今日は全然でしたけど、初日ですから。初日で評価するのは難しいと思いますから。第1、第2クールが終わって、調子を上げてくれるんじゃないかなと思います」

――今後に向けて
「まずは怪我なくこの1か月やるということ。競争は激しくなるので。選手たちのアピールをしっかりと見ていきたいと思います」

(ペン囲み)
――悩ませないというのがテーマ
「主力、中堅は悩むことはないと思いますけど。若手のところですね。そこは。色々、指導者もたくさんいるので。言っていることは間違いじゃないですけど、良くなってくれと思って言っているわけですから。そこを理解してね。しっかりやってもらいたい」

「自分が疑問があるなら質問するとかね。今の時代は、昔は『はい』しか言えなかったけど。今はゆとり世代とZ世代ですから。僕にも平気で電話をかけてくる選手はたくさんいますから。それは全然いい、ありがたいですけど。僕らの時代は監督に電話なんてできなかったですからね。そういう意味では、いい意味で疑問があるなら質問すればいいと思いますね」

――どんな電話を
「『結婚します』とか。報告してくれるのもありがたいし。色々とありますよ。こっちも気を使って電話もしますしね」

――技術面などは
「それはないです。それはコーチが担当しているので。僕が言ったらおかしくなるじゃないですか。それはできるだけ言わないようにしています」

――昨年は選手と面談もあったが、宿舎を訪ねてくる選手など
「キャンプではいないですね。シーズン中ですね。部屋ではゆっくりしたいので。シーズン中は拓也(甲斐)が10回くらいね。牧原大もきたし、どんどん来てくれたら。今やっていることに対して疑問があるなら、僕がコーチに言えるし。そこをこうしろとかは言わないですね」

――キャンプ初日で印象に残った選手は
「近藤ですね。軸がぶれない、いい間合いで打っている。本当に、若い選手のお手本になるんじゃないかなと思います」

「柳田とかは、素晴らしい選手ですけど、ちょっとね。若い選手と打つフォームとかが違いますからね。どっちかというと、ホームランバッターですから。全員が全員、あの真似をしても上手くならない。近藤は教材になるようなバッティング。素晴らしいタイミング、間合い、スイング軌道ですよね。これはもう若い選手は聞きにいくべきだと思います」

――間合いがいいと変化球にも対応できる
「今日は真っ直ぐしか打っていないですけど。後ろから見た時に特にインコースに来てもアウトコースに来ても対応している。間合いがいいからバットが出ていく。どういうふうにしているとか、聞くのはすごくいいことだと思いますね」

――右打者も左打者も参考に
「どっちも一緒。バッティングは基本的に同じなので」

――アストゥディーヨ内野手の打撃の印象
「初日だけじゃわからないですね。三振しない打者と聞いていますけど。初日を見る限りではホーキンスが一番目立っていたかな。球種の多い日本の投手に対してどれだけ対応できるかですね。課題だと思いますけど。真っ直ぐだけならああいうふうに打てるのかなと感じましたね」

――アストゥディーヨはアベレージヒッターか
「ホームランバッターではないですね」

――三塁がメインだと
「一応、三塁で栗原と競争してもらって。メインを三塁にしといて、複数ポジションするならファーストになってくるのかな。栗原もそうですね。栗原の場合は将来的なことを考えたらサード一本の方がいいんですけどね。試合になったらやる可能性があるなら、やっておいたほうがいいですから」

――栗原には副キャプテンのマークが
「目立たなかったね。銀色やから。黄色の柳田の方が目立ちますね」

――投手では、大関が151キロを計測した
「オフを見ていたけど、森がどんどん投げていると聞いていて。初日から飛ばしていくというコメントが新聞とかで出ていて。いいことだと思って。森がそれだけやっていたら、若い選手はもっとやらないといけない。いい相乗効果になっていると思います」

――森の発言がチームに影響を与えている
「僕が前に、言い忘れたんだと思いますけど。数が多くて誰を言い忘れているのかわかりませんけど。森が『先発候補に俺の名前がなかった』と、その気持ちがすごくいいですよね」

――若い選手の表情は
「元気はありましたよ。(不安がない)状態でキャンプにこられたので。みんないい自主トレをやってきてくれたんじゃないかと思います」

――開幕投手を選ぶ基準は
「開幕戦はロッテ戦ですから。ロッテに相性がいいというところから、このキャンプの状態を見て決めていきたい。でもみんなロッテに相性がいいんですよね。東浜も、和田も、大関もいいし。杉山も1勝しているし。ダブル斉藤コーチ(斉藤和巳投手コーチ、斎藤学投手コーチ)と、開幕投手は第3クールが終わったくらいには言いたいなと言っています」

――千賀が抜けて、競争意識が高くなっている
「千賀がね、そのレベルが10だとしたら7.5とか8の投手がたくさんいるので。それをいかにこのキャンプで引き上げるかがダブル斉藤コーチの役目であって。選手のやる気にもなるでしょうし。今のうちの、現状ですよ。エース誰だ? と、名前が出てこないですよね。みんな、7.5とか、抜け出していないところですから。当然、筆頭は東浜、石川になると思いますけど。キャンプが2週間終わらないと決まらないと思います」

――大関の成長などは
「大関は去年自信になったでしょうから。彼は考えすぎて色々フォームを勝手に変えてくるので。いい方向にいってくれたら最高ですけどね。期待はしていますよ」

(竹村岳 / Gaku Takemura)