正木智也が筑後での単独自主トレを選んだ理由 勝負の2年目へ捨てる“甘え”

ソフトバンク・正木智也【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・正木智也【写真:上杉あずさ】

「一回、自分でやってみて、どこまでできるのか試してみたい」

 ソフトバンクの正木智也外野手が10日から福岡・筑後市内のファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」での単独自主トレをスタートさせている。昨年12月から地元・東京に帰省し、主に母校の慶大で練習。「身体作りが中心です。身体を鍛えるのと、バット振るのと、ボールを投げることとランニングは欠かさず、鈍らないようにやっていました」と適度にオフを取りながらも、継続的に身体を動かしてきたという。

 筑後での自主トレは基本的に1人で行う。正木は「馴れ合いじゃないですけど、それよりは自分に厳しくやった方がいいかなと思ったので。他のみんなが馴れ合っているとかではないですよ。自分がそこに入ったら甘えてしまうところがあると思うので、一回、自分でやってみて、どこまでできるのか試してみたい」と思いを語った。

 昨シーズン終了後の秋季キャンプで感じた手応えを確かなものにしたいとの思いもある。「自分の中で掴むものがあったので、それを継続してやってきました」。掴むものとはヘッドの使い方。「ちょっとバットの軌道を変えて。軌道に入れるのをちょっと早くしたというか」と説明する。最短距離でバットを出すイメージだったものを、ヘッドを寝かせてしならせるようなイメージに変えている。

 今季はプロ入り2年目となる。「1年目は最後の方だけいい感じで終われたので、期待もされていると思うんですけど、期待だけで終わらないように。2年目で結果を出して、いち早くレギュラーをとって、中心選手になりたい。2年目は勝負の年だと思います」と、たくましく宣言する。

 即戦力ルーキーとして期待された昨季は、1軍で35試合に出場し、打率.254、3本塁打をマークした。ただ、満足感はない。同世代の選手の活躍には唇を噛んだこともあった。「気にしますね、だいぶ。やっぱりライバル意識はあります。他のチームも自分のチームも」と負けん気を覗かせた。

 中でも、特に刺激を受けたのは2選手。「シーズン最初の方は、中日の鵜飼(航丞)とか。同じ大卒でドラフト2位。すごいホームラン打ったりしてて、焦りもありました」と意識していた。また、チーム内でも「(野村)勇さんがすごい活躍して、ホームランもいっぱい打ったりしてて。そこは同じ右バッターとして負けたくないと思ったし、刺激を受けました」と振り返った。

 周囲の活躍を見て、正木は改めて思いを強くした。「ホームランにはこだわっていきたいと思います。ホームランってチームに与える影響も大きいので、長距離バッター、ホームランバッターという目標は捨てないでやりたい」と決意する。1年目に得た手応えと悔しさを胸に、チームの主力にのしあがるべく、正木は黙々とバットを振り続けている。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)