初日から5選手不在だった新人合同自主トレ 小久保2軍監督が憂慮する“過保護”

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:竹村岳】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:竹村岳】

「ある程度鍛えないと、どこまで鍛えたら怪我するかっていうのも分からない」

 ソフトバンクの新人合同自主トレが、福岡・筑後市のファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」で行われている。今季は支配下6選手、育成14選手の新人計20人がチームに加わり、合同自主トレは7日からスタートした。

 ただ、ドラフト1位のイヒネ・イツア内野手が新型コロナウイルスの陽性判定のために初日から欠席。同6位の吉田賢吾捕手は右肘の状態を考慮されて別メニュー調整となり、育成の岡植純平投手、佐々木明都投手、宮崎颯投手、飛田悠成投手も初日は別メニューだった。フルメニューを消化したのは14選手という異例の船出となった。

 今後のホークスを担っていく“金の卵”たちだけに、いきなり無理をさせて、大きな怪我をさせてはいけない。大事をとって、慎重に調整を進めていくことになるのだが、この事態を憂いていた人物がいる。初日を視察した小久保裕紀2軍監督だ。

「毎年のことですけど、スタートで怪我人が多いのはちょっと気になる」とポツリ。慎重に慎重を期してトレーニングを進めていくことを理解しつつも「あまり過保護にし過ぎるのも良くないな、と思いながら、これからの練習も含めて見ていこうと思う」との考えも語った。

 そこには小久保2軍監督なりの考えがある。「怪我しないためにやって、キャンプに行って怪我しても一緒ですからね。怪我するのは一緒なんで。怪我をさせないことを最優先してますけども、でも、ある程度鍛えないと、どこまで鍛えたら怪我するかっていうのも分からない」。どこまで練習したら怪我に繋がるか。そうした選手個々の限界を知ることも必要なのでは、というのだ。

 というのも、小久保2軍監督には昨季の反省がある。昨春キャンプ、A組では正木智也外野手、B組では育成の山本恵大外野手、仲田慶介外野手が故障のため、キャンプを途中で離脱した。「合同自主トレが緩すぎだから怪我した、というの去年の春のキャンプだった。大卒の子が急に来て、球技(ボールを使った練習)が増えすぎた」。昨年の新人合同自主トレでは、身体作りをメインに行い、実技の練習が不足。それがキャンプに入って、新人たちの怪我に繋がったと見ている。

 そのため、今年は昨年以上に「球技を増やすっていうか、もっと実技を増やすということになっている」と言う。それによって合同自主トレ中の怪我のリスクは増すことになるが、「2月のキャンプで怪我しようが、1月で怪我しようが、怪我は怪我なので。その選手のために今何が一番ベストなのかっていう選手ファーストの議論を組織でやるべきだと思います」と言い切っている。

 合同自主トレ初日に、新人たちに「強さ」を身につけることを求めた小久保2軍監督。既存の選手たちに求めることも同様で、春季キャンプに向けて「春は最初は(秋と)同じようなメニューをします。それは選手に伝えているので。『去年の秋できて、(春の)初日にできなかったら、君たち分かっているよね』と話をしているんで、それなりの覚悟で来ると思います」とも語っている。

 怪我をさせないことも大事だが、慎重になりすぎて、その後に怪我をしてしまっては意味がない。怪我の予防と育成、強化のバランス。1月の新人合同自主トレ、2月1日からのキャンプでも、首脳陣が頭を悩ませるポイントとなりそうだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)