なぜ「チーム今宮」に戻ってきたのか? 川瀬晃が語った“サポート”のありがたみ

自主トレで汗を流すソフトバンク・川瀬晃【写真:竹村岳】
自主トレで汗を流すソフトバンク・川瀬晃【写真:竹村岳】

昨オフに1度は独り立ちも「物足りなさを感じた」

 一度は独り立ちしたからこそ、そのありがたみを感じた。ソフトバンクの川瀬晃内野手が語ったのは、自主トレにおける環境面の重要性。2年振りに今宮健太内野手が福岡・宮若市内で行う自主トレに参加し「環境を一番に考えて選びました」と経緯を明かした。

 昨年、川瀬は今宮との自主トレを一度は“卒業”した。ファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」でオフを過ごし、シーズンに備えた。グラウンドに室内練習場、ウエイトルームなど恵まれた環境があるものの、選手それぞれに消化したいメニューや向き合いたい課題があるからこその悩みにも直面した。

「ノックも手が空いている人を探さないといけないですし、バッティングもマシン打撃が多くなっちゃったので。1日1日がモヤモヤしている状態で、物足りなさを感じた」。新人や育成選手、若手も自主トレを行なっており、選手の多さゆえに苦労もあった。自分のためだけに、練習に集中し切れないことが歯がゆかった。

 今年は再び今宮に頭を下げて自主トレに参加。「1年目からお世話になっている方ばかりで。自分がやりたいことをやらせてくれる場所というか、満足してやりたいようにやらせてくれる環境を『チーム今宮』は作ってくれるので」と理由も明かした。

 この日公開された自主トレに、現役選手で参加したのは今宮、川瀬、楽天の村林一輝内野手の3人。今宮の知人、友人ら多くのサポートを受けて練習に励んだ。午後には2時間近くバットを振り込むなど、とにかく練習の内容を濃くして、2023年に飛び込もうとしている。

「今宮さんがどうこうと、意識しているというのはなくて。自分がどうやったら満足して練習できるのか、環境を考えて選びました」。川瀬自身にも今宮の元を離れ、完全に自立していきたいという思いはある。昨季終盤に「縁があって、いろんな人がサポートしてくれる」と大分・国東市での自主トレを打診され、今月5日から3日間、弟でオリックスの育成選手でもある川瀬堅斗投手と同市で汗を流した。

「弟とは別のメニューだったんですけど、1人で黙々とすることがあまりなかったので。向き合ってランニングしたり、自分で追い込んだりする時間が12月からずっとあったので。とてもいいスタートを切れています」と充実した表情で語った。

 自主トレの環境を確保するには施設をはじめ、スタッフの手配など苦労が多い。今宮にすがるのではなく、自分自身でも自主トレを行ったからこそ、何倍も成長して自主トレの日々を過ごせている。「来年は国東でやろうと考えています」とすでに先の見通しも立てている。12月、1月を誰と、どこで、どうやって過ごすのか。シーズンの大きな鍵を握っている。

(竹村岳 / Gaku Takemura)