1年間で球速5キロアップ 育成3年目・村上舜が痛感したプロとアマの“体力”の違い

ソフトバンク・村上舜【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・村上舜【写真:上杉あずさ】

今季は球速アップを目指したトレーニングの成果か、最速は148キロまで上昇

 ソフトバンクの育成左腕・村上舜投手がこの1年間で急激な成長を遂げた。2019年の育成ドラフト7巡目で山形中央高校から入団し今季が3年目。2軍公式戦の登板はまだ1試合だが、3軍を主戦場に実戦経験を積み、3軍戦25試合に登板して6勝6敗、防御率3.11という成績を残した。

 昨季までの自己最速は143キロだったが、今季は最速で148キロをマークした。今年は球速アップを目指したトレーニングメニューを取り入れてきた。「ドライブライン(のウエイトボールを使用したメニュー)とか瞬発系の動きを取り入れるようになってからですかね」と、成果のほどは分からないが、本を読んだり、先輩の取り組みを見たり、話を聞いたりしながら日々進化を求めている。

 とにかくガムシャラだった1、2年目を経て今季は「考えられるようになった」という。「一昨年、去年と体力をつけて、とにかく1年間必死でついて行こうとやっていました。今年はガムシャラにしつつも、トレーニングとか食事とか、考えながら出来たのかなと思います」と村上は言う。

 1、2年目は練習についていくのに必死だった。「高校時代はめちゃくちゃ厳しかったんです。年に2回しか休みがなかった。体力的にそこで培われたものもあると思うんですけど……」。体力に自信がなかったわけではないが、プロの世界で1年間フル稼働することは容易ではなかった。

「1年間パフォーマンス良くというのは難しい。僕も体力はあると思ってきたんですけど、ただランニングとかの体力と、丸1年動き続けることの体力って全然違うんですよね。疲労は溜まるし、全然抜けない。そこは本当に難しかったですね」。徐々にプロ生活に慣れてきたことで、今季は自分なりの工夫が出来るようになってきた。食事のバランス、サプリメント摂取のタイミングなども意識した。睡眠についても昼寝が大事だと聞いて取り入れた。

「真っ直ぐで押して、キレで勝負出来るピッチャーになりたいというのは変わっていない。その上で、1年間通して勝てるピッチャーになれるように頑張りたいですね」。入団時からの目標は変わらない。その投球スタイルを見て、周囲からは和田毅投手になぞらえられることも多い。来季の目標は当然、支配下登録。ここまでの経験を生かして日々を過ごしていく。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)