2軍で29本塁打もなぜ1軍で打てない? リチャードが語った打席での“心理”の差

ソフトバンクのリチャード【写真:藤浦一都】
ソフトバンクのリチャード【写真:藤浦一都】

リチャードが抱えるジレンマ「2軍と変えずにいきたいと思うんですけど…」

 ソフトバンクのリチャード内野手が今季の苦悩を告白した。ウエスタン・リーグではリーグ新記録となる29本塁打を放ちながら、1軍では打率.159、3本塁打と大苦戦し、5度のファーム降格も味わった。今季から160万円ダウンとなる1000万円(金額は推定)で契約を更改した25日の契約更改後、1軍で結果を残せなかった原因について思いを吐露した。

「(2軍は)楽しいというか、次何投げてくるんだろうな、前はコイツからこう打ったからここに来るだろうなとか、エンジョイできていたのはあります。(1軍では)なかなかできないと思います。勝たないといけないので」

 リチャードが強調したのは重圧の違い、そして常に結果を出さなければいけない自身の焦りだった。今季は開幕1軍をつかんだものの、23試合出場で3本塁打5打点に終わった。2軍では結果を残し、何度も1軍のチャンスを掴んでも、その度に結果ばかりを追い求めて、冷静にプレーできなかった。

「2軍と変えずにいきたいと思うんですけど、1軍にいったら『打ちたい』『打ちたい』となっちゃう。それを制御できる落ち着いた心というのが……」と振り返った。与えられるチャンスは僅か。目の前にある少ない出番で爪痕を残そうと焦り、力んでしまうことで、2軍と同じ心境で打席に立つことはなかなかできなかった。

 1軍に何度も呼ばれたのは決まって宮城大弥投手が先発するオリックス戦だった。7月13日の試合で2打席連続で本塁打を放つなど、6打数4安打2本塁打の好相性を買われた。CSの第2戦(京セラD)でも「7番・一塁」で先発。だが、「宮城で頭がいっぱいで。周りが見えなくて、孤独というか」。宮城を打つことを求められているのが分かるからこそ、大きな重圧を感じてしまっていた。

 6年目となる来季は真価を問われるシーズンになる。契約交渉の席では、球団は「リチャード的にはどう思う? 我々は順調だと思っている」と、現状と課題に理解を示してくれたという。藤本監督をはじめ、誰もが期待しているロマン砲。「来シーズンは非常に僕にとって厳しいシーズンになることは見えている」と覚悟を示すリチャード。冷静に、2軍の同じように打席に立てれば……。それがロマン砲にとって最大の課題なのかもしれない。

(鷹フル編集部)