笠谷俊介が異国で遂げた“変心” 「頑張る」ではなく「楽しむ」ことの重要性

ソフトバンク・笠谷俊介【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・笠谷俊介【写真:藤浦一都】

まとまらないコントロールを「気にし過ぎていた部分があった」

 ソフトバンクの笠谷俊介投手が“変心”して帰ってきた。シーズン後に派遣されたプエルトリコのウインターリーグで5試合に登板し、3勝1敗、防御率1.00。結果以上につかんできたのは、日本とは違った野球への向き合い方だった。

「すごくいい経験をさせてもらった。四球を出したり点数を取られたりして、日本では謝っていたのを、あっちだったらなんで謝るんだ、と。『点を取られたくてなった結果じゃないのだから、もっと楽しめ』みたいな感じで言われた」。25日に今季から100万円ダウンとなる年俸2100万円(金額は推定)で来季の契約を結んだ後の会見で、清々しい表情でこう語った。

 シーズンでは16試合で0勝0敗、防御率6.35に終わった。計17イニングを投げて、与えた四死球は14。制球面に苦しんだのは明らかだった。「ずっと悪いので。何かを変えないといけない」。課題克服のキッカケを探して、海を渡った。目にしたのは、異国の選手たちが野球を楽しむ姿だった。

「環境も日本に比べて悪い。その中でやっている選手とやっていない選手に分かれていって。やっている選手の方が結果は出ていますし。みんなで楽しく、ロッカーもドンチャン騒ぎで。打てなくても、点を取られても、また次頑張ろうや、みたいな雰囲気だった。そういうところを真似してじゃないけど、やっていきたいです」

 結果や周囲からの声を気にしながら投げるのではなく、全力を尽くし、プロとして万全の準備をした上で、試合になったら野球を楽しむことが大事だと痛感した。制球面への影響にも「気にし過ぎていた部分があった。(走者を)出したとしても、ゼロで帰るというのをやらないといけない」と好感触だ。

 生活面での苦労もあった。「停電とか、エアコンや洗濯機が壊れたりして。何とかルームメートと対処できました」というタフな日々を乗り越えて、心身ともに成長して帰ってきた。「野球を『頑張る』じゃなくて『楽しむ』に変えていきたいです」。来季が9年目。心から生まれ変わった笠谷は「先発で2桁勝つことが目標ですけど。優勝したいのが一番です」と来季の目標を掲げていた。

(鷹フル編集部)