41歳・和田毅が球団と意見交わした“投手の評価” 球界取り巻く環境の変化で訴え

契約更改交渉を終えたソフトバンク・和田毅【写真:代表撮影】
契約更改交渉を終えたソフトバンク・和田毅【写真:代表撮影】

「投手陣は一生懸命頑張ってチームに貢献していると思う」

 ソフトバンクの和田毅投手が球団に“投手の評価基準”の見直しを訴えた。25日に今季から1500万円増の年俸1億6500万円でサインした契約更改交渉の席で球団側と、昨今の球界を取り巻く状況を踏まえた投手陣の評価基準について意見を交換したという。(金額は推定)

「年々、球場も狭くなっているし、ファールグラウンドも狭くなっている。PayPayドームに関しては2015年からテラスができている。ホームランの割合が一気に増えたので。数値的にもほぼパリーグで1番打たれている球場なので、ホームランを抑えるのは難しい。なるべく打たれないようにと気持ちになると四隅を狙って四球も出ることもある」

 ソフトバンクは今季パ・リーグで3番目に多い115本塁打を浴び、そのうち、52本を本拠地PayPayドームで打たれている。2015年にホームランテラスが設置されて以降、本拠地での本塁打数も増えたが、当然、被本塁打数も増加。投手にとっては不利な球場となっているといえる。

 さらにZOZOマリンスタジアムにホームランラグーンが設置されるなど、球界はエキサイティングな本塁打が増えるような流れにある。さらにはフィールドシートの設置などでファウルゾーンも小さくなってきており、和田は「ファウルボールが、アウトじゃなくなってファウルになってしまうのが、投手にとってはね……。あそこに観客席がなければ、とか思うこともある」と投手の気持ちを代弁する。

 トレーニング方法の進化や環境の向上もあって、年々、打者のパワーは向上。それと対抗するように投手も球速が150キロを超えるパワーピッチャーが多くなっている。そんな現状に和田は「投手陣は今、分業制になり、球場が狭くなればなるほど、パワーで抑えないといけなくなっている。キレだけでは抑えられないのが現状というか。投手陣は一生懸命、頑張ってチームに貢献していると思う」と訴えた。

 実は球団側もこうした選手を取り巻く環境の変化から投手の評価の見直しも検討しているという。昨オフに捕手の評価方法も見直しており、三笠杉彦GMは「投手の分業制、役割の変化によって従来していた評価ではなく、評価の仕方を変えていく、投手の評価は難しい、というのは思っていたところ。大ベテランである和田投手から聞けて良かった。僕らの問題意識とも合っている」と語っている。

 来季は42歳となるチーム最年長の和田が、フロントと膝を突き合わせて意見を交わした投手の評価。「意見交換をこういう場でさせていただくのが大事だと思う。聞いてくれる球団に感謝したい。耳を傾けてくれて嬉しかった」と和田は言う。今後、大ベテランの言葉が球団の評価基準見直しの契機となるかもしれない。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)