仲間の前で食らった一喝 川瀬晃が「プライド捨てた」小久保2軍監督の言葉

契約更改交渉を終えたソフトバンク・川瀬晃【写真:福谷佑介】
契約更改交渉を終えたソフトバンク・川瀬晃【写真:福谷佑介】

「このままじゃダメだ、何かを変えないといけないんだと思わされました」

 13日に本拠地PayPayドームで契約更改交渉を行い、今季から300万円増の年俸1700万円(金額は推定)で契約を更改した川瀬晃内野手。今季は自己最多の73試合に出場し、打率.278をマークした。成長した打撃面において、小久保裕紀2軍監督に「感謝したいと思います」と語った。

 川瀬にとって転機となったのは、6月半ばに2軍降格となったタイミングだった。ミーティングの場で、ゲキを飛ばされた。「晃、お前バッティングをイチからやり直せ! このままじゃいかんぞ!」。他の選手たちもいる前での指摘。「ものすごく自分の中でビビっときた」。深く胸に響いた。

「小久保さんって僕のイメージですけど、1対1で話すのはありますけど、みんなの前でそういうことを言うのを僕は聞いたことがなかった。それくらいのことを小久保さんは思ってくれていたんだと思いました。そういうのを感じて、このままじゃダメだ、何かを変えないといけないんだと思わされました」

 アマチュアで名を上げて、プロの世界へと上り詰めたプロ野球選手たち。誰もがプライドを持っており、それをかなぐり捨てることは容易ではない。川瀬自身も「自分のどこかにプライドがありまして、形を崩したくないというか。自分の考えは合っているという高いプライドがあったんですけど、自分の中でのプライドが一切なくなった」という。そんなプライドを小久保2軍監督の言葉が捨てさせた。

「(ともに2軍打撃コーチの)吉本亮さんと関川さんと相談しながら。どうやったら強い打球がいくのか、確率が上がるのかという話をしながらやってきた」。打撃面ではセカンドランナーを心がけ、“噛んだ打球”を打つようにフォームを修正。バットを寝かせ、バットとボールの軌道が一直線になるように形を変えた。これがハマった。山本由伸投手や佐々木朗希投手の真っ直ぐからヒットを打つなど、速いボールにも対応できるようになった。

「本当に自分のプライドを全部捨ててやったのが初めてだった。本当に感謝したいですし、作ったものをさらにレベルアップして、小久保さんに『バッティングよくなったね』というようなことをいってもらえたらうれしいなと思いながらやっています」と小久保2軍監督に感謝。ショートの位置を争う今宮健太の壁は厚いが、成長している打撃を武器に、レギュラー争いに挑む。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)