近藤健介加入で大補強、一方で4軍制発足 鷹が掲げる“補強と育成”の在り方

ソフトバンクへの入団が発表された近藤健介【写真:荒川祐史】
ソフトバンクへの入団が発表された近藤健介【写真:荒川祐史】

三笠GMが語る方針「育成か補強かではなく、育成も補強もやる」

 ソフトバンクは12日、日本ハムから海外FA権を行使した近藤健介外野手が入団すると発表した。残留を要請していた日本ハムを含むパ・リーグ5球団で勃発した近藤争奪戦だったが、来季のV奪還を目指して大型契約をオファーしたされるソフトバンクが争いを制した。

 今オフのFA市場で最大の目玉とされた近藤を獲得し、補強に成功したソフトバンク。さらにロッテから自由契約となったロベルト・オスナ投手の加入も決定的となっており、このオフは、3年ぶりのV奪還へなりふり構わぬ大補強を敢行している。

 その一方でチームは来季から更なる育成システムの強化のため、NPBでは初なる4軍制を導入する。若手の育成と新戦力の補強という、一見すると相反するような戦略を、同時並行的に行っている。この補強と育成の在り方について、三笠杉彦GMは球団の考え方、方針を語った。

「ホークスの方針としては、育成か補強かではなく、育成も補強もやる。そこはどういう観点かというと、僕らとしては与えられている環境の中で、来季も、それ以降も強くあるためにやれる手段を取っていく」

 ソフトバンクが掲げているのは、毎年のように優勝する常勝軍団。数年に1回優勝できればいい、のではなく、常に優勝を目指す球団でなければいけない。短期的にも、中長期的にも勝ち続ける必要があり、そのために取り得る策は全て取るということ。補強だけでも、育成だけでもダメで、双方を常に並行して進めていくということだ。

 闇雲に補強に走っているわけではない。今オフは近藤、そして昨オフは又吉克樹投手と2年連続でFA補強を行ったが、それ以前のFAでの選手獲得は、争奪戦に敗れたこともあり、2013年にまで遡る。三笠GMも「チームの長所、短所を分析した上で、どういう選手を補強で獲って、どういう選手が育ってきているか、というバランスの中で決めている」と語る。

 ソフトバンクには近藤と同じ左翼で柳町達外野手や正木智也外野手ら、外野全体を見渡せば、上林誠知外野手らもいる。ただ、近藤のように4割を超える出塁率を残す打者はチームにはおらず、まさにチームの課題を解消するうってつけの存在。近藤の加入によって、競争がさらに激化し、チーム全体の戦力に厚みをもたらすとも期待している。

「我々には『めざせ世界一』というスローガンがあって、ファームも強化しながら、大型補強もする。世界一という観点で育成と補強、どっちもやっていく」と語る三笠GM。育成もしつつ、必要とあらば大補強もしていく。それが常勝軍団でい続けなければならないソフトバンクの方向性だ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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